第三十一回 答えのないこと

答えのないこと
第三十一回 私の中のエロス

前回の続き。

幼き頃の悲しい経験を
私はいつしか別の記憶や
概念に置き換えていた。

学校が楽しくない。
そう記憶していた私の過去。

家でも楽しくない。
長らく忘れていた少女の感情。

ありのままで生きるーー
その難しさを感じる小さな世界で
幼き私は魂をちぎっていた。

おそらく、
ただ途方に暮れて。

消えたかった私は、いずれ味わう
美しく尊い時間をまだ知らない。

死を意識した私は、制限の世界で
ただ悲しみに目を向けていただけ。

33年ぶりに
パンドラの箱から現れた
本来の自分の姿は、
愛と慈悲、
そして生きる力に満ちていた。