答えのないこと 第十四回 毒か薬になれるなら
編集者やライターとして 長らく原稿を書いてきたものの、 腹の内を見せるような 生身の言葉を発するという機会は ほとんどなかった。
誰もが発信者になれる時代だけれど、 表現力に乏しい私の言葉は、 時に身近な人を傷つけているらしい。
正確に伝えらえるか。 心が伝わるか。
新人時代、担当雑誌の発売日を 胃が痛くなるほど恐怖に感じたように、 最近、水曜日は朝から落ち着かない。
刺々しく見えても愛があると 感じてもらえるように。
言葉を紡ぐことの難しさを痛感しつつも 今は書くという行為に、 筆を執り表現することに、 生まれて初めて強い興味を覚えている。