第十三回 答えのないこと

答えのないこと
第十三回 資本主義の私的な終焉

アルバイトを経験した頃からか
気づけば私は自分の時間を
時給換算するようになっていた。

会社員を辞め、独立してからは
月金、9時5時の時間帯に
生産性のないことをしていると
サボっているような感覚に陥った。

誰が決めた訳でもない。
ただ自らに課していた制限。
それは資本主義経済の世で生きる
逃れようのない性。
そう思っていた。

けれど子供を産み、復帰してみると
仕事における生産性が
著しく下がったことを実感しつつも、
労働という考えに変化が起きていった。

専業主婦という役割が成立するように、
必ずしも賃金という形ではない対価が
この世の中には確かに存在するという、
ともすると遠い異国ではごく当然の事実に
今さらながら気がついた。