答えのないこと 第七回 言葉の羽ばたき
料理することが増えたせいもある。 いつからだろうか。スーパーでは 鮮度に多少の違いしか感じられない食材は 賞味期限が近いものから手に取るようになった。
多少値段が張ったとしても、応援の気持ちで 生産工程に信頼のもてるものを手に取るようになった。
思い出したのは、 −−ブラジルでの蝶の羽ばたきは テキサスでトルネードを引き起こすか−− という気象学者エドワード・ローレンツの “バタフタライ効果”。
食品ロスも、有機農業の普及率も、 今日地球の裏側で起きたニュースでさえも、 他人事など何ひとつない。 昔はどこか浮ついて感じたその言葉を いつからか腹の底から理解していた。