『THE COLLECTION OF THE KING OF POP MICHAEL JACKSON』

『THE COLLECTION OF THE KING OF POP MICHAEL JACKSON』
(Julien’s AUCTION 2009年)

 こんなに軽い内容の本をこのコーナーで紹介することに引け目を感じています。僕がとりあげるのは、マイケル・ジャクソンのオークションカタログBOXセット。そんなの全く興味ない、という方はもうここで読むのをやめてしまいますよね。ちなみに僕はマイケルの熱心なファンではありません。誰でも聴いたことがあるような有名な曲しか知らないし、他に知っていることといえば、ダンスのキレがいいことぐらい。そんなの誰でも知っている。つまりほぼ何も知らないに等しい。ほら、もうこれ以上、話が続かない…。

 2009年4月に開催される予定だった、マイケルの私物オークション。開催1か月前になって突然マイケルが出品予定物の一部返却を求める訴訟を起こし、なんだかいまいちよくわからない理由で結局オークションは中止になったそうです。どう考えても同意の上で開催が決定したはずだし、そうでなきゃこんな豪華なカタログBOXセットも作らないと思うのですが。僕がこのBOXセットに興味をもった理由は、もちろん入札が目的ではなく、スワロフスキーやスパンコールでゴッテゴテに装飾されたステージ衣装の数々をパラパラと眺めてみたい、ぐらいのものだった。たしかカタログの定価は100ドルぐらい。大判の写真集だったら妥当な金額。いやむしろ安いぐらいなんじゃないの?なんて軽い気持ちでオーダー。でも数分後に届いた決済メールの額面は送料込で300ドル超え。まーじーでーすーかー。これは遊びの買い物にしては、ハズした時はショックも大きい。一瞬怯んだものの、でもなんとなく勢いで買ってしまったのです。

 『THE COLLECTION OF THE KING OF POP』と記された外函の中には、5冊に分れたカタログが納められている。頭に落ちてきたら確実に死ぬぐらいのへヴィー級の重量。そりゃ、送料も高くつくわけだ。そもそものお目当てだった、ステージ用の衣装やアクセサリー、プロモーションフィルムで身につけた装身具などでまとめられた冊子はなかなか満足度の高い内容。衣装は着脱しやすいようマジックテープを使っていたり、シャツの裾など隠れて見えないところの生地は、ただロックミシンをかけただけの状態だったり。ステージ衣装ならではの工夫をみることができて、何だか得した気分。おもしろいのは、衣装だけではない。鎧、絵画、宝石、巨大な彫像、家具、リヤドロ陶器のコレクション、ロールスロイスやハーレーダビッドソン、ゴルフカート、自身の肖像画まで、出品物は2000点以上。フィギュアや模型類もたくさん。趣味は完全に男の子の世界。アーケードゲーム機なんて、へたなゲームセンターより揃ってる。そう、この本はマイケルの買い物の記録なんですね。

 こうしてまとめてみると、ちゃんと選ぶものに統一したセンスがあって、高価な買物自慢みたいなイヤな感じは全然しないんです。たぶん大量の好きなものに囲まれていることに幸せを感じる人だったんじゃないかな。物を愛する人、というかんじ。自分の城を築きあげるために、糸目をつけずにバンバン費やし続けた姿勢はなんだか見ていて気持ちがいい。マイケルの城に遊びに行ってみたかったなー。Google mapでネバーランドを検索してみたら、あっさりと上空から跡地の景色を見ることができた。周りになにもない山奥に、ぽっかり穴があいたようにできているひと気ない遊園地。なんだろ。やっぱりちょっと怖いです。

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