映画メモ・2021

 都内の名画座に足繁く通うようになって9年目になるけれども、毎年、年末になると「今年は見逃したものが多い」とか「もっと観ることができたはずなのに」などと後悔ばかりしているのはどういうわけか。
 何年か前は、たとえアルバムを作るような仕事が入っているときでも、なんとか時間をやりくりしてまだ観たことのない作品には駆けつけていた。シネマヴェーラの【新東宝映画特集】とか。それが最近はちょっと忙しくなってしまうとすぐに観るのをあきらめている。シネマヴェーラ渋谷、晩秋の大型特集【私たちの好きなロマンポルノ】など、観ればどれも面白いのに、いったい何が忙しかったのか、見逃し作品ばかりになってしまった。とにかく、歳をとるとあきらめがよくなるのがおそろしい。でも仕方がない。歳なんだから。



 名画座に掛かっている作品さえ見逃してばかりなのだから、新作映画などほとんどまったく観ていない。なのに今年も『映画メモ』などという原稿を書いているのがそもそも恥ずかしい。毎年、掲載させていただくこの文章はつまり、映画鑑賞にかこつけた『加齢メモ』に他ならない。
 2021年の最後の日曜日、ずっと見逃したまま、とっくにロードショー上映は終わっていると思い込んでいた『007ノー・タイム・トゥ・ダイ』がまだ掛かっている、というので六本木の劇場に足を運んだ。本当のことを言えば、シネマヴェーラ渋谷でロバート・シオドマクやダグラス・サークの映画が観たかったのだが、12月最終週・日曜の渋谷の混雑を想像して予定を変更した。
 六本木ヒルズに入っているシネマ・コンプレックスも渋谷に負けないほど混雑していた。上映開始時刻まで30分はあったので、売店の長い行列に並んでポップコーンを買い、劇場に向かうと、10分前にならないと入場できない、とロビーで待たされる。
 そこではつまり、ラピュタ阿佐ヶ谷や池袋・新文芸坐と違って、複数の上映作品の観客が同じロビーで待っているわけである。その人混みの中を、たぶん劇場係員とおぼしき、あまり似合っていないスーツを着た男性が「ただいまから●番スクリーン、16時●分上映の『●●●』の入場を開始いたします。チケットをお持ちの方は劇場入り口で検温と消毒をお済ませのうえ、ご入場ください」というようなことを、とくに拡声器を使うわけでもなく、マスク越しの地声でアナウンスしている。それを見ていて、とつぜん閃いた小さなアイデアをここに記す。いや、大したアイデアではないですよ。
 当然のことながら館内放送を使ってロビーにアナウンスする。そのとき、アナウンスするのは女声で。まずは日本語で。つぎに英語で。フランス映画ならフランス語で。韓国映画なら韓国語で。ここからがちょっとした演出のアイデアなのですけれど、アナウンスの前に国際線の発着する空港と同じチャイムの音を流すと耳に快く、気持ちも高揚するのではなかろうか。シャルル・ド・ゴール空港でおなじみ「シソミレー」というフレーズなどは使えないだろうか。じゃあ、ちょっと旅行に行ってきます、という気分になりませんか? このアイデアは小西康陽が考案しました、ということをあらためて記す。
 さて入場開始。やはり見逃していた人は多かったのか、劇場のシートはほぼ満席である。ふだんはほぼ『名画座かんぺ』に掲載されている劇場にしか足を運んでいないので、観客の多くが40歳以下である、という事実に驚いてしまう。みんなシュッとしていて、みなポップコーンと飲み物のトレイを持っていて、みな男女のカップルである。彼らにしてみれば当然のことが眩しい。
 肝心の映画は正直なところ、あまり楽しむことができなかった。ダニエル・クレイグの演じるジェイムズ・ボンドは素晴らしいのだが。それよりも途中から気になり出したのは、ポップコーンを食べながら映画を鑑賞する、という享楽をじぶんが味わっているという事実だった。平日のホームグラウンドである都内の名画座では、いまでも上映中に食事をすることができないというのに、このシネ・コンではなぜこのような楽しみを謳歌することができるのか。飲食店を併設しているから業態が異なる、とか、免許の有無による、とか説明されたところで、やはり腑に落ちない。思い出すのは池袋・新文芸坐の前から3列目中央の席で、カルビーのポテトチップスの特大サイズの袋を開けながら大庭秀雄『女舞』を観ていた年配の男性や、渋谷キノハウス4階のシネマヴェーラや3階のユーロスペースで洋画を上映しているときだけ現れて最前列中央に座り、袋入りのポップコーン、ポテトチップス、菓子パン、大きなペットボトルの清涼飲料水、保温ポットに入れたコーヒー、さらには「スーパーカップ」というアイスクリームなど、ありったけの食品を入れた袋を座席の両側に置いて映画を鑑賞する中年の女性のこと。彼らはいま、どこで何を観て、何をつまんでいるのだろうか。
 もうひとつ。じぶんの左側に座った若い女性は、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』が始まってから、映画の途中で3回、スマートフォンを立ち上げて見ていた。おい、それ名画座でやってみろよ。なんてマナーを知らない客なんだ、と思いつつ、周囲も、そして隣席に座るじぶんも、注意したりしない。気にしていない素振りをするのみ。ここではヴィジター、じぶんはアウェイの客なんだ、と言い聞かせる。



 2021年に読んだ「映画について書かれた文章」でいちばん刺激的だったのはなんと、じぶんが依頼して書いていただいたものだった。レディメイド未来の音楽シリーズCDブック篇04、『恋愛に倦きてしまった』という本の中でおこなった【わたしの好きな恋愛の映画】というアンケート特集に寄稿していただいた方々の文章。ひとり1ページ、そのうえ原稿料も出せません、という条件だったので、皆さま気軽に選び、書いてくださったのがよかったのか、どの文章にも、それぞれの恋愛観、そして映画に対する考え方というものが写し出されていた。とくに衝撃を受けたのはラピュタ阿佐ヶ谷の支配人である石井紫さんの「ときめき不足には昭和のラブコメ」という文章。ラピュタ阿佐ヶ谷がときどき掛けてくれる番匠義彰や野村芳太郎のコメディを、いままではただなんとなくぼんやりした気持ちで鑑賞していたのだが、この文章を読んで、そうした番組の数々は大きな愛情とともに選ばれていた、ということをいまさらのように知った。ちょうど6月からスタートした【松竹レアもの祭】は、じぶんにとって今年の最大の収穫とも言える特集上映で、石井支配人の眼のたしかなことを再認識した。そのCDブックのアンケートで石井支配人と同じ作品、加藤泰の『車夫遊侠伝・喧嘩辰』を選んでいた寒空はだか氏、そして樽本周馬氏のお二人が「石井さんと作品が被っているなんて光栄です」と異口同音に仰っていたことを書き添えておく。明けて2022年、ラピュタ阿佐ヶ谷ではいよいよニュー・プリント2本を含む特集上映【番匠義彰:松竹娯楽映画のマエストロ】が春からスタートする、とのこと。以下は2021年の鑑賞メモ。例によって鑑賞直後に星をつけたり、つけなかったり。そのときの気分に促されての評価なので、当てにはなりません。




1月
★1.悪い奴ほどよく眠る @新文芸坐
★2.彼岸花 @早稲田松竹
★★3.秋日和 @早稲田松竹
4.何か面白いことないか @ラピュタ阿佐ヶ谷
5.大出世物語 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★6.気まぐれ天使 @シネマヴェーラ
7.どん底 @新文芸坐
8.弥次喜多道中記 @神保町シアター
9.東京の合唱 @早稲田松竹
10.戸田家の兄妹 @早稲田松竹
★11.意気に感ず @ラピュタ阿佐ヶ谷
12.雲に向かって起つ @ラピュタ阿佐ヶ谷
13.日本残俠伝 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★14.花嫁は十五才 @ラピュタ阿佐ヶ谷
15.俺は地獄の部隊長 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★16.若草物語 @ザムザ阿佐谷
★17.丘は花ざかり @ザムザ阿佐谷
18.霧に消えた人 @ザムザ阿佐谷
★19.七人の侍 @新文芸坐
20.酔いどれ天使 @新文芸坐
21.姫君海を渡る @シネマヴェーラ
★22.素晴らしき休日 @シネマヴェーラ
> ジョージ・キューカー『素晴らしき休日』シネマヴェーラ。船旅に出る恋人を追うラストは『麗しのサブリナ』を16年も先取り。ハードボイルド小説に必ず登場する酒浸りの人物。このアル中の兄を演じたルー・エアーズという俳優。主役の二人で結末が読めてしまうのが惜しい、傑作になれなかった秀作。
> というか『麗しのサブリナ』ってこの映画の翻案というか、パロディなのか。男の兄弟が同じ女性に恋する話。堅物の兄が恋の勝者になる、という書き換え。

23.紅の流れ星 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★24.河内ぞろ どけち虫 @ラピュタ阿佐ヶ谷
25.男はつらいよ 寅次郎と殿様 @神保町シアター
★26.鞍馬天狗 青銅鬼 @神保町シアター 並木鏡太郎
27.むっつり右門捕物帖 鬼面屋敷 @神保町シアター 山本嘉次郎
28.現代悪党仁義 @ラピュタ阿佐ヶ谷
29.明日は咲こう花咲こう @ラピュタ阿佐ヶ谷
★30.二人の世界 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★31.エドワールとキャロリーヌ @シネマヴェーラ
★32.グッド・フェアリー @シネマヴェーラ
★33.俺は田舎のプレスリー @神保町シアター
> きょう観た映画『俺は田舎のプレスリー』で勝野洋が着ていたTシャツの胸に書かれていた文字が「another green world」だった。

34.影法師捕物帖 @神保町シアター
★35.殺されたスチュワーデス白か黒か @シネマヴェーラ
36.わが命の唄 艶歌 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★37.競輪上人行状記 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★38.どろ犬 @シネマヴェーラ
39.真紅の男 @シネマヴェーラ
40.河内風土記 おいろけ説法 @シネマヴェーラ
★41.オレンジロード急行 @神保町シアター
★42.女賭博師鉄火場破り @シネマヴェーラ
43.七つの弾丸 @ラピュタ阿佐ヶ谷
44.にあんちゃん @ラピュタ阿佐ヶ谷
45.暁の翼 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★46.旅愁 @シネマヴェーラ
47.追憶の女 @シネマヴェーラ
48.生まれながらの悪女 @シネマヴェーラ
★49.女相続人 @シネマヴェーラ

2月
50.真昼の惨劇 @ラピュタ阿佐ヶ谷
51.次郎長三国志 次郎長賣出す @ラピュタ阿佐ヶ谷
52.山中傳奇 @早稲田松竹
★53.残酷ドラゴン 血斗竜門の宿 @早稲田松竹
> キン・フー『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』早稲田松竹。期待せずに観たが面白くてびっくり。何しろ主人公の登場がまるで『いも侍 蟹右エ門』。ビリー・ワイルダー『熱砂の秘密』、黒澤明、マカロニ、ベルモンド、いろいろな映画を連想。沼田曜一、木村玄、月形、いろんな邦画俳優のことも連想しつつ。

★54.次郎長三国志 次郎長初旅 @ラピュタ阿佐ヶ谷
55.七人の挑戦者 @ザムザ阿佐谷
56.峠を渡る若い風 @ザムザ阿佐谷
57.示談屋 @ザムザ阿佐谷
58.大日本コソ泥伝 @ザムザ阿佐谷
★59.暗い鏡 @シネマヴェーラ
> ロバート・シオドマク『暗い鏡』シネマヴェーラ。どなたの感想ツイートにも出てこないので書くが、双子姉妹を精神分析する大学教授の役が、ジョージ・キューカー『素晴らしき休日』でアル中の兄を演じたルー・エアーズだった。ハーバート・マーシャルと同じく二枚目だけを演じる役者なのか。ご贔屓。

★60.謎の佳人レイチェル @シネマヴェーラ
61.カンサス騎兵隊 @シネマヴェーラ
62侠女 @早稲田松竹
63.朝を呼ぶ口笛 @ラピュタ阿佐ヶ谷
64.証人の椅子 @ラピュタ阿佐ヶ谷
65.すばらしき映画音楽たち @新文芸坐
66.ようこそ映画音響の世界へ @新文芸坐
★★67.鍵 @神保町シアター
68.蛇の穴 @シネマヴェーラ アナトール・リトヴァク
★69.ぼくどうして涙がでるの @ラピュタ阿佐ヶ谷 森永健次郎
> 森永健次郎『ぼくどうして涙がでるの』ラピュタ阿佐ヶ谷。難病ものは日活伝統の路線なのか。白黒の、いかにも1960年代という画質の「写真集のような」構図が続いて満足。キャストの中に柳川慶子がいるのがアクセント。そのためなのか、東宝の松山善三の映画を連想。ドラマ『君は海を見たか』も連想。

70.次郎長三国志 第三部 次郎長と石松 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★71.国境の南 @シネマヴェーラ
★★72.忘れじの面影 @シネマヴェーラ
★73.踊る騎士 @シネマヴェーラ
74.がんばれかめさん @シネマヴェーラ
75.人生案内 @シネマヴェーラ
★★76.今晩おひま? @ユーロスペース
77.言い知れぬ恐怖の町 @ユーロスペース
★78.ソロ @ユーロスペース
★79.かあちゃんと11人の子ども @ラピュタ阿佐ヶ谷
80.一万三千人の容疑者 @ラピュタ阿佐ヶ谷
81.衝動殺人 息子よ @ラピュタ阿佐ヶ谷
82.限りある日を愛に生きて @ラピュタ阿佐ヶ谷
★83.次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港 @ラピュタ阿佐ヶ谷
84.赤いトキ @ユーロスペース
★★85.藤十郎の恋 @新文芸坐
★86.陽気な連中 @シネマヴェーラ
★87.翌日戦争が始まった @シネマヴェーラ
★88.なみだ川 @神保町シアター
89.かげろう笠 @神保町シアター
90.千姫御殿 @神保町シアター
91.海辺の恋 @ユーロスペース
92.オー・パン・クペ @ユーロスペース
93.地上の輝き @ユーロスペース

3月
★94.なつかしき笛や太鼓 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★95.青春讃歌 @シネマヴェーラ
★96.持参金のない娘 @シネマヴェーラ
★97.青春群像 @新文芸坐
★98.8 1/2 @新文芸坐
99.サーカス @シネマヴェーラ
100.チーちゃんごめんね @ラピュタ阿佐ヶ谷
★101.次郎長三国志 第五部 殴込み甲州路 @ラピュタ阿佐ヶ谷
102.ジャズメン @シネマヴェーラ
★103.古都憂愁 姉いもうと @神保町シアター
104.鬼の棲む館 @神保町シアター
★105.魂のジュリエッタ @新文芸坐
106.フェリーニのアマルコルド @新文芸坐
★107.家族の肖像 @新文芸坐
★108.夏の嵐 @新文芸坐
109.灰色の狼 @シネマヴェーラ
110.揺れる大地 @新文芸坐
★★111.郵便配達は二度ベルを鳴らす @新文芸坐
★112.アエリータ @シネマヴェーラ
★113.ジプシーは空にきえる @シネマヴェーラ
114.二十歳の原点 @ラピュタ阿佐ヶ谷
115.孤島の太陽 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★116.次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一座 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★117.ハムレット @シネマヴェーラ
118.ベッドとソファ @シネマヴェーラ
119.赤いカリーナ @シネマヴェーラ
★120.秋のマラソン @シネマヴェーラ
121.全線 @シネマヴェーラ
122.白い汽船 @シネマヴェーラ
★123.次郎長三国志 第七部 初祝い清水港 @ラピュタ阿佐ヶ谷
124.野獣たちのバラード @シネマヴェーラ
125.盗まれた恋 @神保町シアター
★★126.お茶漬の味 @船堀シネパル
★127.お早よう @船堀シネパル
★★128.河内ぞろ 喧嘩軍鶏 @ザムザ阿佐谷
129.河内ぞろ あばれ凧 @ザムザ阿佐谷
130.男性飼育法 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★131.次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★132.マルタの鷹 @シネマヴェーラ
★133.脅迫者 @シネマヴェーラ
★134.孤独な場所で @シネマヴェーラ
135.悪魔をやっつけろ @シネマヴェーラ
★136.化石の森 @シネマヴェーラ
> アーチー・メイヨ『化石の森』シネマヴェーラ。結局、自分はおとぎ話みたいな映画が好きなのだけど、これはかなり捻りのきいたおとぎ話。去年見た『潜水艦轟沈す』で大好きになったレスリー・ハワードとベティ・デイヴィスの主演。舞台でも初演を務めたハワードがボギーを映画に推薦した、のだそう。

137.三つ数えろ @シネマヴェーラ
138.大日向村 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★139.珍品堂主人 @ラピュタ阿佐ヶ谷
140.喜劇 陽気な未亡人 @ラピュタ阿佐ヶ谷

4月
141.次郎長三国志 第九部 荒神山 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★142.マックス、モン・アムール @シネマヴェーラ
143.夏の妹 @シネマヴェーラ
144.悦楽 @シネマヴェーラ
145.帰ってきたヨッパライ @シネマヴェーラ
> 大島渚『帰ってきたヨッパライ』シネマヴェーラ。いま上映終了。上映中、後半あたりからずっと、何列か後ろの席で聞こえよがしに「あーあ」とか「ふぁ、ふぁ、ふぁ」という空あくびのパフォーマンスをする年配客がいて閉口した。よほど退屈か、よほど居た堪れない話だったのか。

★146.騙し絵の牙 @T-Joy 品川
147.ノマドランド @T-Joy 品川
★148.少女ムシェット @早稲田松竹
★149.バルタザールどこへ行く @早稲田松竹
150.シン・エヴァンゲリオン劇場版 @T-Joy 品川
★★151.新・夫婦善哉 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 豊田四郎『新・夫婦善哉』ラピュタ阿佐ヶ谷。森繁、淡島千景、淡路恵子、浪花千栄子、山茶花究、小池朝雄、とにかく役者の演技を存分に楽しませる、それだけに奉仕する演出。最高の装置の中で見せる長回しの芝居。今回の特集、以前観た作品をサボってしまったことを悔やむ。『夫婦善哉』パスして後悔。

152.大東亜戦争 @シネマヴェーラ
★153.キョート・マイ・マザーズ・プレイス @シネマヴェーラ
154.私のベレット @シネマヴェーラ
★155.儀式 @シネマヴェーラ
156.帰郷 @神保町シアター
★157.血を吸うカメラ @新文芸坐
158.小さな冒険旅行 @シネマヴェーラ
159.御法度 @シネマヴェーラ
160.ごぜ 盲目の女旅芸人
  裸の時代 ポルノ映画・愛のコリーダ @シネマヴェーラ
161.明日の太陽
  ★★愛と希望の街 @シネマヴェーラ
★162.明日ある限り @ラピュタ阿佐ヶ谷
163.摩天楼の男 @ザムザ阿佐谷
164.波影 @ラピュタ阿佐ヶ谷
165.サラリーマン物語 新入社員第一課 @ザムザ阿佐谷
166.喜劇 駅前百年 @ラピュタ阿佐ヶ谷
167.素足の娘 @ザムザ阿佐谷
168.ブラック・ムーン @新文芸坐
★169.パスポートのない女 @シネマヴェーラ
170.秘密指令 @シネマヴェーラ
★171.脱獄の掟 @シネマヴェーラ
172.夜よりも深い闇 @シネマヴェーラ
★173.カモ @シネマヴェーラ
★174.札束無情 @シネマヴェーラ
175.ベラ・ルゴシの幽霊の館 @シネマヴェーラ

5月
★176.大江戸性盗伝 女斬り @ラピュタ阿佐ヶ谷
177.白鳥の歌なんか聞えない @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★178.囁きのジョー @ラピュタ阿佐ヶ谷
179.脱獄者の叫び @シネマヴェーラ
★180.夜のストレンジャー @シネマヴェーラ
181.必死の逃避行 @シネマヴェーラ
182.蔵の中 @ラピュタ阿佐ヶ谷
183.色情妻 肉の誘惑 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★184.囁きのジョー @ラピュタ阿佐ヶ谷
> ラピュタ阿佐ヶ谷で今週2回目の『囁きのジョー』。前回、シネマヴェーラで4回観たので、通算6回目。日曜に観たときほどの感動は無し。当たり前か。この映画の欠点なら誰よりもオレがよく知っている。なんちて。今週の発見:コマーシャルの撮影の場面の麻生れい子のメイクした顔は辺見マリそっくり。

185.罠を仕掛けろ @シネマヴェーラ
★186.ボディガード @シネマヴェーラ
> きのう観た映画。罠に嵌められ、警部殺しの汚名を着せられる元刑事。それを同僚だった婚約者が力を貸して事件を解決。ラストは汚名返上して警察から出てくる新婚夫婦。それを見た新聞記者が「やはり終身刑か?」警察官が笑って「ある意味ではそうだな」シャレたオチ。

187.高い標的 @シネマヴェーラ
188.暴行切り裂きジャック @ラピュタ阿佐ヶ谷
189.幻魔大戦 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★190.㊙︎ハネムーン暴行列車 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 長谷部安春『㊙︎ハネムーン暴行列車』ラピュタ阿佐ヶ谷。この映画を二十代のときに観ていたらもっと日活ロマンポルノを好きになっていたかも。男なら誰だって八城夏子に恋してしまう。傑作ゆえに結末が残念。カントリーロックな音楽も。坂田晃一は好きな作曲家だがロマンポルノには不向きでは。

191.虹の中のレモン @ラピュタ阿佐ヶ谷
★192. 左ききの狙撃者 東京湾 @新文芸坐
★193.悪の階段 @新文芸坐
194.秘密捜査官 @シネマヴェーラ
195.Tメン @シネマヴェーラ
196.不思議惑星キン・ザ・ザ @ヒューマントラストシネマ有楽町
197.望みなき捜索 @シネマヴェーラ
★198.リオの男 @新宿武蔵野館
★199.蜘蛛の瞳 @新文芸坐
200.薔薇と鞭 @ラピュタ阿佐ヶ谷
201.俗物図鑑 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★202.暴る! @ラピュタ阿佐ヶ谷 長谷部安春
> 長谷部安春『暴る!』ラピュタ。傑作。ラスト、崖から転げ落ちる自動車をスローモーションで映す画面にスタッフとキャストのクレジットが流れる。そのあと、主演女優が崖を覗き込む顔のアップに短くてダサいブラスのジングルが被る。あの自動車が地面に叩きつけられる場面で「終」って欲しかった。

203.相続人 @新宿武蔵野館
204.カトマンズの男 @新宿武蔵野館
205.クー!キン・ザ・ザ @ヒューマントラストシネマ有楽町
206.田舎刑事 時間よ、止まれ @シネマヴェーラ
207.エノケンの頑張り戦術 @シネマヴェーラ
208. 狂ったバカンス @ヒューマントラストシネマ渋谷
209.太陽の下の18才 @ヒューマントラストシネマ渋谷
★210.禁じられた抱擁 @ヒューマントラストシネマ渋谷
211.宇能鴻一郎の人妻いじめ @ラピュタ阿佐ヶ谷
★212.縄と乳房 @ラピュタ阿佐ヶ谷
213.旅路 -おふくろさんより- @ラピュタ阿佐ヶ谷
214.女性自身 @ラピュタ阿佐ヶ谷
215.エースの中のエース @新宿武蔵野館
216.名探偵アジャパー氏 @シネマヴェーラ
217.東海道弥次喜多珍道中 @シネマヴェーラ
218.アマゾンの男 @新宿武蔵野館

6月
★219.若い季節 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★220.月給¥13,000. @ラピュタ阿佐ヶ谷
221.眼の壁 @ラピュタ阿佐ヶ谷
222.炎の氷河 @ラピュタ阿佐ヶ谷
223.素晴らしき十九才 @ラピュタ阿佐ヶ谷
224.幽霊暁に死す @シネマヴェーラ
★★225.インディレース 爆走 @シネマヴェーラ
★226.ホゼー・トレス @シネマヴェーラ
227.おとし穴 @シネマヴェーラ
228.すさのお異伝 @シネマヴェーラ
229.新座頭市物語III 虹の旅 @シネマヴェーラ
230.われらの主役 @シネマヴェーラ TV番組
231.サマー・ソルジャー @シネマヴェーラ
232.十二人の写真家 @シネマヴェーラ
★233.サラリーマン無鉄砲一家 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★234.子供の眼 @ラピュタ阿佐ヶ谷
235.東京1958 @シネマヴェーラ
236.白い朝 @シネマヴェーラ
237.1日240時間 @シネマヴェーラ
>勅使河原宏『短編集2』短編3本。

★238.涙 @ラピュタ阿佐ヶ谷
239.真昼の罠 @ラピュタ阿佐ヶ谷
240.ハイ・ティーン @ラピュタ阿佐ヶ谷
★241.大穴 @ラピュタ阿佐ヶ谷
242.北斎 @シネマヴェーラ
243.いけばな @シネマヴェーラ
244.いのち 蒼風の彫刻 @シネマヴェーラ
245.動く彫刻 ジャン・ティンゲリー @シネマヴェーラ
>勅使河原宏『短編集1』短編4本。

★246.インディレース 爆走 @シネマヴェーラ
★247.女を忘れろ @新文芸坐
★248.絶唱 @新文芸坐
249.青島要塞爆撃命令 @ラピュタ阿佐ヶ谷
250.糞尿譚 @ラピュタ阿佐ヶ谷
251.爆薬(ダイナマイト)に火をつけろ @新文芸坐
★★252.東京の孤独 @新文芸坐
★253.おゆきさん @ザムザ阿佐谷
254.燃える肉体 @ザムザ阿佐谷
255.サラリーマン物語 敵は幾万ありとても @ザムザ阿佐谷
★256.花心中 @ザムザ阿佐谷
> 『花心中』どこから感想を書いてよいか整理できないほどだが、いちばん驚き、嬉しくなったのはラスト近く、津川雅彦が歌のレッスンをつけていた女性歌手が葉山ユリだったこと。なんとこの監督は女性の好みが一貫しているのか。「斉藤耕一は私だ」。このツイート、鈴木啓之さんに届きますように。
> 観ていてすぐ連想したのはアラン・パーカー『小さな恋のメロディ』。近藤正臣が横山リエと暮らした部屋に中野良子を初めて連れてくる場面で音楽でも、と言って流れるのがビージーズ「若葉のころ」激似の曲。二人が古いミシンに乗って遊ぶ場面。近藤正臣の完璧なイケメン映像。『花心中』。
> もう一本、連想したのはやはり『同棲時代・今日子と次郎』。ラストのクレジットでやはり上村一夫と阿久悠の原作と知る。ということは津川雅彦は阿久悠、なんですか?こんな作詞家いるわきゃねーよ(泣)、と売れない作詞作曲家は観ながら考えていたのだが。『花心中』
> 撮影所経験、助監督経験のない・スコピトン上がりの・宣伝広告出身の・音楽ヴィデオ出身の・脚本の書けない・映像派の・人間の描けない・薄っぺらな・オシャレな・空っぽな映画作家の作る、とりあえず最上の映画。木村拓哉さんはこの映画のリメイクに出演させたかった。『花心中』
> 原宿の歩行者天国?で、近藤正臣がマペットを操りながら歩く場面で口ずさむのが「ピンポンパン体操」。追いかけるように原曲も風景の中の音楽として流れる。小林亜星を追悼する上映となった今週の『花心中』。
> もうひとつ覚書。『旅路-おふくろさんより-』に続いて出演していた笈田敏夫。子供の頃、この人と沢たまき、を歌手なのになんてヘタな歌なのだろう、と思っていた。大人になって、沢たまき=ペギー・リー直系の味のある歌手だと知ったが、笈田敏夫は。造形的なカッコよさを発見した斉藤耕一。『花心中』
> あの笈田敏夫の着ていたサファリ・ジャケット。1970年代の業界人。ハンティング・ワールドのバッグを持っていてほしかったにゃー。

257.有楽町0番地 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★258.三羽烏三代記 @ラピュタ阿佐ヶ谷
259.快人黄色い手袋 @ラピュタ阿佐ヶ谷
260.俺にさわると危ないぜ @新文芸坐
261.黒い賭博師 悪魔の左手 @新文芸坐
262.ネオン警察 ジャックの刺青 @新文芸坐
263.広域暴力 流血の縄張 @新文芸坐
> 長谷部安春『広域暴力 流血の縄張』新文芸坐。バーのマダムが姫ゆり子!小料理屋の女将が峯京子!その亭主が中丸忠雄。すぐ殺される岡崎二朗。恐喝される商社マンが高野真二。高橋明、五条博、クレジットなしの江角英明。三上真一郎のすぐ上の兄、みたいな風貌の小林旭。何度も流れる「新宿そだち」。

264.続々々 番頭はんと丁稚どん チャンポン旅行 @ラピュタ阿佐ヶ谷
265.図々しい奴 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★266.千代田城炎上 @シネマヴェーラ
267.アメリカン・ユートピア @T-Joy 品川
★★268.夜の鴎 @シネマヴェーラ
★269.女の中にいる他人 @シネマヴェーラ
270.日本一のホラ吹き男 @ラピュタ阿佐ヶ谷
271.引越やつれ @ラピュタ阿佐ヶ谷
★272.クレージーの花嫁と七人の仲間(「乱気流野郎」改題) @ラピュタ阿佐ヶ谷
273.津軽じょんがら節 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★274.この天の虹 @神保町シアター
> 木下恵介『この天の虹』神保町シアター。たぶん最初の完成試写は八幡製鉄所内で行われたと思しきPR映画にドラマを加えた作品。製鉄工場の圧倒的な映像。溶鉱炉の前に立つ笠智衆!いっぽうドラマは淡い展開。久我美子のさりげない台詞に涙腺決壊したが、あんまりさりげなくて思い出せない。地味な傑作。

275.虎造の荒神山 @ユーロライブ 青柳信雄
276.清水港は鬼より怖い @ユーロライブ
★277.風の視線 @シネマヴェーラ
★★278.七人の刑事 女を探がせ @ラピュタ阿佐ヶ谷
279.踊りたい夜 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★280.日本の青春 @シネマヴェーラ
281.「廓」より 無法一代 @シネマヴェーラ

7月
282.はだしの花嫁 @ラピュタ阿佐ヶ谷
283.女弥次喜多 タッチ旅行 @ラピュタ阿佐ヶ谷
284.ちんじゃらじゃら物語 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★285.太陽を抱く女 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> むかし訳あり?だったと思しき真理明美の母・沢村貞子が上京すると聞いて、あわてて迎えに行く佐野周二がいきなり居間で倒れる場面の、あまりの素早さ。佐分利信監督『夜の鴎』に続いて?天才的な倒れ方を披露する佐野周二!

286.さまざまの夜 @ラピュタ阿佐ヶ谷
287.渚を駈ける女 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> ラピュタの松竹特集で3作品連続で出演していた初名美香という女優。番匠義彰『太陽を抱く女』では菅原文太の浮気相手。同じく番匠『さまざまの夜』では銀座のバーの女性。酒井欣也『渚を駈ける女』では川津祐介が連れ帰る女。3作ともバーのホステス。ギルガメセクシーメイツ?の人に似たB級美女。

288.再会 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> おととい『ちんじゃらじゃら物語』からレイトの斉藤耕一『再会』まで5本連続で観たのですが、『さまざまの夜』のラブホで津川雅彦が北林早苗を「甘えるんじゃない」と平手打ちする場面、『再会』でも野口五郎が全く同じことやってて眠気が覚めました。

★289.結婚のすべて @シネマヴェーラ
★290.ウナ・セラ・ディ東京 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 番匠義彰『ウナ・セラ・ディ東京』ラピュタ阿佐ヶ谷。主演の二人が札幌に旅行する場面を観て、なぜか宝田明の『香港の夜』と『香港の星』を連想。そうか、番匠義彰は松竹の千葉泰樹なんだ、と気づいた瞬間。それにしても窓から札幌時計台が見えている「ホテル丸惣」の部屋、ぜったいウソ。堪能した。

★291.おしゃべりな真珠 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 「さびしいときのきみが、ほんとうのきみの姿なんだ。」
きのう観た川頭義郎『おしゃべりな真珠』で、帰っちゃいや、と駄々をこねる伊東ゆかりに池部良がいう長台詞の中のひと言。さびしいときの自分が、本当の自分なんだ、だったかも。ナイトクラブで池部良が立ち上がってダンスする場面だけで満足。

292.女は幾万ありとても @ラピュタ阿佐ヶ谷
293.夜叉ヶ池 @ユーロスペース
★294.私たちの結婚 @ユーロスペース
> 篠田正浩『私たちの結婚』ユーロ。切符を買った後で以前観たと気づくが、以前より何倍も感動。「井上順のプレイボーイ講座」で昔はこの辺りでも海苔の養殖が、という台詞があって、そう言えばそんな映画が、と思ったのはコレか。はだかさんの含蓄よ。清川虹子が天使。ひとり松竹レアもの祭。
> 数日後、この映画のことを寒空はだかさんにお尋ねすると、まったく憶えていらっしゃらなかった。

★★295.花札渡世 @シネマヴェーラ
★★296.かも @シネマヴェーラ
★★297.噂の女 @シネマヴェーラ
298.雪夫人絵図 @シネマヴェーラ
299.キングコングの逆襲 @ラピュタ阿佐ヶ谷
300.ミニミニ突撃隊 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★301.みな殺しの霊歌 @ラピュタ阿佐ヶ谷
302.憧憬 @ラピュタ阿佐ヶ谷
303.上を向いて歩こう @神保町シアター
> 舛田利雄『上を向いて歩こう』神保町シアター。冒頭、中村八大の音楽があまりに力の入ったスコアでこのまま行けば大傑作、と思うもやはり減速。見どころは麻薬中毒のジャズドラマー梅野と酪農の泰靖。臆面もなく自作『完全なる遊戯』のネタを使う監督。随所にウエストサイド感。高橋英樹の美貌よ。

304.怪談雪女郎 @角川シネマ有楽町
305.えんぴつ泥棒 @シネマヴェーラ 中川順夫、木崎伸子(小畑絹子)
306.嘘 @新文芸坐 増村保造、吉村公三郎、五所平之助、芥川也寸志
★307.砂の香り @ラピュタ阿佐ヶ谷 岩内克己
> 「これは捨てられた女が、新しい妻を迎えた男に、恐ろしい呪いを掛けている場面なんだ」
岩内克己『砂の香り』浜美枝の家のパーティーで、友人の披露する能に退屈して不満を漏らす松本めぐみに対して兄が窘めるセリフ。メモ。ニュープリントで観たら傑作だった。ラピュタさま、ありがとうございます。

★308.東京ド真ン中 @ラピュタ阿佐ヶ谷
309.追いつめる @ラピュタ阿佐ヶ谷
310.日本列島震度0 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★311.親不孝通り @新文芸坐
★312.闇を横切れ @新文芸坐

8月
313.殺人 MURDER! @国立フィルムアーカイブ
314.麻雀放浪記 @国立フィルムアーカイブ
> きのう国立フィルムアーカイブで『MURDER!』のついでに『麻雀放浪記』。4回目となると追悼上映なのに欠点ばかり数えている。反物を投げる、カツアゲのあとに草笛、流れ星、満開の桜のスクリーンプロセス、大きな蛾、雀卓360度撮影。名古屋章が活弁の話をする場面で成澤昌茂の巧さを思い出したり。でも撮影なのか照明なのか、フィルムなのか現像処理なのか、モノクロの階調の見事な美しさだけは東映東京の石井輝男や深作欣二のギャング映画や関本郁夫の『夜の青春』シリーズ、小林恒夫の二二六事件の映画などで観たあの画質だった。

★315.太陽の季節 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 古川卓巳『太陽の季節』ラピュタ阿佐ヶ谷。佐藤勝の音楽にやられた。クラシックギターのソロと、テナー・サックスのソロ。作曲家のアイデアなのか、監督の考えなのか、経済的な理由なのか。なんにせよ、こう来たか。映画の格調が上がった。とはいえラジオから流れる曲もオリジナルかも。

316.狂恋 @シネマヴェーラ
317.吸血鬼 @シネマヴェーラ
318.らせん階段 @シネマヴェーラ
319.めくらのお市物語 真赤な流れ鳥 @ラピュタ阿佐ヶ谷
320.マンディンゴ @新文芸坐
321.生きてる死骸 @シネマヴェーラ
★322.疑惑の渦巻 @シネマヴェーラ
323.フランケンシュタイン @シネマヴェーラ
★★324.怒りの日 @シネマヴェーラ
> シネマヴェーラで『怒りの日』。いつもちゃんと解説を読まずに、ただ「まだ未見」の作品だけを観るので、本当にノックアウトされた。ベルイマン、増村、三隅、木下、ポランスキー、新東宝。全部入りだ、と思っていたらカール・TH・ドライヤーの映画だった。そして、たしかに「恐ろしい映画」。脱帽。

325.悪魔の人形 @シネマヴェーラ
326.私はゾンビと歩いた! @シネマヴェーラ
★327.M @シネマヴェーラ ジョゼフ・ロージー
★328.暗黒の恐怖 @シネマヴェーラ
329.牛若丸 @ラピュタ阿佐ヶ谷
330.一石二鳥 @ザムザ阿佐谷
331.銀座の沙漠 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★332.俺は情婦を殺す @ラピュタ阿佐ヶ谷
★333.めくらのお市地獄肌 @ラピュタ阿佐ヶ谷
334.霧の夜の男 @国立映画アーカイブ
335.七つボタン @ザムザ阿佐谷
> 本日は雨の中、NFAJで松尾昭典『霧の夜の男』そしてザムザ阿佐谷で古川卓巳『七つボタン』の二本。『霧の夜の男』自動車を運転する安部徹とピストル早撃ちの東野英治郎を目撃。『七つボタン』編み物をする安部徹と、いつもの東野英治郎を確認。ザムザ阿佐谷の冷房が酷。寒さ阿佐谷。
> 古川卓巳『七つボタン』この映画が昭和20年の敗戦の日までを描いていること、そしてちょうど10年後の昭和30年に制作されていることを強く意識しながら観た。現代の日本人がちょうど10年前の日本のことをこれほど客体化できるか。もうひとつ、日活制作再開からロマンポルノまでを歩んだ市村博の映画。

336.浩吉ひばりのびっくり五十三次 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★337.けものの眠り @ラピュタ阿佐ヶ谷
338.宝島遠征 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★339.悪魔の往く道 @シネマヴェーラ
★340.密航0ライン @ラピュタ阿佐ヶ谷
341.めくらのお市 みだれ笠 @ラピュタ阿佐ヶ谷
342.優しき殺人者 @シネマヴェーラ
343.殺人魔の魂 @シネマヴェーラ
344.スペードの女王 @シネマヴェーラ

9月
345.行き止まりの挽歌 ブレイクアウト @神保町シアター
346.行きずりの街 @神保町シアター
> 阪本順治『行きずりの街』神保町シアター。仲村トオルって通りの良い声ではないんだな、と思う内にノセられていた。仲村、菅田俊、うじきつよし、石橋蓮司、みな抜けの悪い声で、なぜかそこが魅力的。そして江波杏子。彼女の何でもない演技で落涙してしまう。出演者クレジットのラストに彼女の名前が。

347.ひばり捕物帖 かんざし小判 @ラピュタ阿佐ヶ谷
348.拝啓天皇陛下様 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★349.秘剣 @ラピュタ阿佐ヶ谷
350.助っ人稼業 @ラピュタ阿佐ヶ谷
351.めくらのお市 命貰います @ラピュタ阿佐ヶ谷

★352.女子大学生 私は勝負する @国立映画アーカイブ
> 板谷紀之『女子大学生 私は勝負する』国立映画アーカイブ。先々週?の上映、頼んでチケットを取ってもらったのに仕事で見逃した作品。そのとき観た友人に感想を尋ねると、面白かったけど、、と言葉を濁していた理由を理解した。自分を追ってきたボートで即死した元恋人に「ばか」というだけの主人公。
> 『女子大学生 私は勝負する』でも太陽族映画としてはカトリーヌ・スパークの『狂ったバカンス』より出来が良かった。とにかく池野成の全編ヨーロッパふうジャズのスコアが最高。得意技ではないはずなのに、職人芸!「Chet Baker sings」のジャケが2箇所でスクリーンに映る映画。

★353.クレールの膝 @新文芸坐
354.男女の戦 @シネマヴェーラ
355.巨人ゴーレム @シネマヴェーラ
356.復活 @シネマヴェーラ
357.美しき結婚 @新文芸坐
358.べっぴんの町 @神保町シアター
359.天使に見捨てられた夜 @神保町シアター
★360.第三の死角 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★361.拝啓総理大臣様 @ラピュタ阿佐ヶ谷
362.悪魔の接吻 @新文芸坐
★363.地獄の饗宴 @新文芸坐
364.インゲボルグ・ホルム @シネマヴェーラ
365.妖雲渦巻く @シネマヴェーラ
366.スピオーネ @シネマヴェーラ
★★367.暗黒街 @シネマヴェーラ
★368.絞首台の下 @ザムザ阿佐谷
> ザムザ阿佐谷で西川克己『絞首台の下』タイトルの付け方がシャレている。豪華キャストで配役もヒネリがきいていた。稲垣美穂子の朗らかな兄を演じる上野山功一。新聞記者の野呂圭介。長門裕之が野呂圭介を呼び出す喫茶店「東京茶房」のフォントがウィリアム・クライン「東京」と同じだった。

369.傷だらけの掟 @ザムザ阿佐谷
370.街に気球があがる時 @ザムザ阿佐谷
371.花のお江戸のやくざ姫 @ラピュタ阿佐ヶ谷
372.にっぽんぱらだいす @ラピュタ阿佐ヶ谷
373.ひばりのおしゃれ狂女 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 佐々木康『ひばりのおしゃれ狂女』ラピュタ阿佐ヶ谷。久しぶりの映画だったから楽しんだのか。いや、そんなことはない。素晴らしい悪役、菅貫太郎のワンマンショー。ファン必見!

★374.香港の夜 @ラピュタ阿佐ヶ谷
375.闘牛に賭ける男 @ラピュタ阿佐ヶ谷
376.東京夜曲 @神保町シアター

10月
377.千姫と秀頼 @ラピュタ阿佐ヶ谷
378.波濤を越える渡り鳥 @ラピュタ阿佐ヶ谷
379.異国の丘 @シネマヴェーラ
380.狼ボスを倒せ @シネマヴェーラ
381.夕焼け富士 @シネマヴェーラ
382.殺人犯 七つの顔
  続殺人犯★七つの顔 解決編 @シネマヴェーラ
★383.姑娘と五人の突撃兵 @シネマヴェーラ
★384.新日本珍道中 西日本の巻 @シネマヴェーラ
★385.娘十六ジャズ祭り @シネマヴェーラ
★386.香港の星 @ラピュタ阿佐ヶ谷
387.風車のある町 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★388.ぐれん隊純情派 @神保町シアター
> 増村保造『ぐれん隊純情派』神保町シアター。いまのところ、今年いちばん素晴らしい鑑賞体験。この人の映画はもちろん名作ばかりだけど、これがマイベスト増村かも。最高の鴈治郎。最高の是好。最高の伊東光一、藤巻潤、三木裕子、そして最高の千波丈太郎。サイテーな大川博。何とかしてもう一回行く!
> たしかに観始めてしばらくは、これ池野成じゃないだろうに、と思ってしまうのだけど、千波丈太郎が金策に戻る?場面とか、ときどき話と池野サウンドが強烈にシンクロしたり、奇妙な効果をもたらす。山本直純じゃないよな、黛敏郎なら良きかな、とか考えながら映画が終わる。あー、大傑作。
> あの千波丈太郎が猫背で与太ってトボトボ街を行くタイトルバック、どんな映画なのか全く予想できないのに目が離せない感じ。それから葬儀の実家で役者稼業を継ぐと決めて、出演していることさえ忘れていた鴈治郎が登場する場面まで。ここまでに今年のココロのベストワンが決定しました。
> 千波丈太郎が藤巻潤に困った顔で、だって兄貴、と訴える表情。アレは完全に「傷だらけの天使」の水谷豊の原型だった。『ぐれん隊純情派』。

389.スナッチ @新文芸坐
390.ジェントルメン @新文芸坐
391.小判鮫 お役者仁義 @ラピュタ阿佐ヶ谷
392.ハワイの夜 @ラピュタ阿佐ヶ谷
393.カミカゼ野郎 真昼の決斗 @ラピュタ阿佐ヶ谷
394.チョイト姐さん思いで柳 @シネマヴェーラ
395.警察官出世パトロール @シネマヴェーラ
396.静かなり暁の戦場 @シネマヴェーラ
397.無警察 @シネマヴェーラ
398.殺されるのは御免だ @シネマヴェーラ
★399.鏡山誉の女仇討 @シネマヴェーラ
> 仰天。天城竜太郎って誰?殺陣が鮮やかだけど、やけに顔の大きい役者と思ったら「ハレンチ」の人だったとは。そして岩藤・津路清子は並木鏡太郎夫人?!川崎ゆきおの漫画の登場人物みたいな沢井三郎という俳優。最高の日比野恵子!さすがの鏡太郎クオリティ。

★400.ホノルル・東京・香港 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★401.東京-パリ 青春の条件 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> ラピュタ阿佐ヶ谷で観た『東京-パリ 青春の条件』ただの歌謡映画ながら見どころ満載だったが、ヒロインの小川ひろみと並んで「!」と思った女優がワンシーンのみ登場の園えり子。斎藤耕一好み、つまりオレ好みの人だったが、検索してみてびっくり仰天。平山三紀のお姉さんのあの人だった!
> 『東京-パリ 青春の条件』見どころ満載の覚え。どこかのガレージで行われるビッグバンドの音合わせの場面。歌わないアン真理子。50年ぶりに観た宮地晴子。中井貴一に似てる橋幸夫のピアノ演奏シーン。細川俊之に似てる若き森田健作。橋・西郷・舟木・三田明の共演曲。もういろいろ忘れてる、、

402.バンコックの夜 @ラピュタ阿佐ヶ谷
403.三人の博徒 @ラピュタ阿佐ヶ谷
404.地球40度線 赤道を駈ける男 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 斎藤武市『地球40度線 赤道を駈ける男』ラピュタ阿佐ヶ谷。ナイアガラ・フリーク必見のシリア・ポールと小林旭の抱擁シーン。エースの錠の代打をやらされる内田良平。ボサ・ノーヴァを聴いた山本直純。ヒロインを演じる器ではないけれど、歌は驚くほど素晴らしい若林映子。日活アクションの日没。

405.チャッカリ夫人とウッカリ夫人 @シネマヴェーラ
★406.スター毒殺事件 @シネマヴェーラ
> 本日はシネマヴェーラで新東宝映画5本を消化。どれも見応えがあったがいちばん楽しめたのは赤坂長義『スター毒殺事件』前半の撮影所風景が楽しい。天知茂と万里昌代に挨拶する女優たちの中に大空真弓、二人が車から降りる場面で原知佐子を発見。男優だと中山昭二と古川緑波が貫禄のカメオ出演。
> 『スター毒殺事件』、俳優たちの「業界人」演技が最高。
1.映画プロデューサー役の江川宇礼雄。最初のセリフが「どう、やってる?」軽い!
2.海辺で万里昌代を口説く江見俊太郎にキャメラマンが「おい仕事、仕事」と促すと余裕で応える江見「気分出すのも仕事のうちよ」語尾の「よ」がサイコー。

★407.重臣と青年将校 陸海軍流血史 @シネマヴェーラ
408.九千万の明るい瞳 @シネマヴェーラ
★409.娘の設計図 @シネマヴェーラ
410.勝利者の復讐 @シネマヴェーラ
★411.激突!殺人拳 @新文芸坐
412.直撃地獄拳 大逆転 @新文芸坐
★413.女と命をかけてブッ飛ばせ @シネマヴェーラ
414.神州天馬侠 @シネマヴェーラ
★415.少林寺拳法 @新文芸坐
416.けんか空手 極真拳 @新文芸坐
417.天はすべて許し給う @早稲田松竹
418.クレージー メキシコ大作戦 @ラピュタ阿佐ヶ谷
419.子連れ殺人拳 @新文芸坐
420.ボディガード牙 @新文芸坐
421.脱走遊戯 @新文芸坐
422.ゴルゴ13 九龍の首 @新文芸坐
423.ザ・スパイダースのバリ島珍道中 @ラピュタ阿佐ヶ谷
424.陽は沈み陽は昇る @ラピュタ阿佐ヶ谷
425.東京-ソウル-バンコック 実録麻薬地帯 @ラピュタ阿佐ヶ谷

11月
426.天と地を駈ける男 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★★427.ドライブ・マイ・カー @ヒューマントラストシネマ渋谷
428.沙漠の花園 @シネマヴェーラ
429.ダーティー・ダンシング @早稲田松竹
★430.テルマ&ルイーズ @早稲田松竹
★431.反逆の旅 @神保町シアター
> 渡邊祐介『反逆の旅』神保町シアター。いろいろダメなのになぜか90分退屈しない。麻生れい子のヌードと声。ハスキーを超えた悪声。「映画の中にしか存在しない夢の女」ステレオタイプ万歳!原田芳雄の玩具デザイナーという設定をなぜ生かさない?超ウザいストーカー高橋洋子。
> 『反逆の旅』堺佐千夫、谷村雅彦の無駄使い。無駄な花火。松本清張の映画みたいな被疑者の戸籍台帳調べ。他人のラーメンを食べる志垣太郎。22分の遅刻を叱責される尾藤イサオ。その情婦の横山リエ。56歳という設定の佐々木孝丸。そして何より力の入った、入り過ぎた演技の田中邦衛。
> 「2人目(の子供)なんて簡単に言うけどよ、オレ悪いけどよ、やさしさとか男らしさなんて道端に落っことして来ちゃった」自閉症児の一人息子のことで妻と言い合う田中邦衛。
「島で女とウジャジャケてるなんて、オレが許さねえ」原田芳雄に敵意を燃やす田中邦衛。
「じゃ、送別会しましょうか」麻生れい子に別れを告げる原田芳雄。

★432.MORE / モア @シネマカリテ
> B・シュローダー『MORE/モア』シネマカリテ。パーティーで女性に一目惚れ。友人に女の素性を尋ねると、アレはやめろ、との忠告。謎多き女にいよいよ翻弄され転落する野暮天男。って、オレがもし映画を撮るなら、というプロットかも。ミムジー・ファーマーのマルガリータの作り方、必見!
> このB.S.&T.のジャケット、ビニールコーティングしてあるので、フランス盤、もしくはUK盤でしたね。そして「クリームの素晴らしき世界」と「God Bless Tiny Tim」。ヘロインの隠し場所に立て掛けてあったドリス・デイ「Day by Night」。

★433.凱旋門 @シネマヴェーラ
434.上海特急 @シネマヴェーラ
>マレーネ・ディートリッヒの相手役、てっきり同じスタンバーグのサイレント時代の傑作『暗黒街』のジョージ・バンクロフトだと思い込んでいた。そっくりさん俳優。クライヴ・ブルック、という名前。

435.渚の果てにこの愛を @シネマカリテ
★★436.王将 @新文芸坐
437.素浪人罷通る @新文芸坐
★★438.おぼろ駕籠 @新文芸坐
★439.大江戸五人男 @新文芸坐
★440.明治一代女 @新文芸坐
441.われ幻の魚を見たり @新文芸坐
★★442.かあちゃん結婚しろよ @国立映画アーカイブ
> 五所平之助『かあちゃん結婚しろよ』NFAJ。大傑作。家族?の中の厄介者がとつぜん舞い戻るところから物語が動き出す、という「松竹」映画ど真ん中の作劇と、詩情あふれる、どころか「詩」そのものみたいな画面とが交差して、心の中が忙しかった。なぜか『モスクワっ子』はじめ東欧の映画を連想したり。
> 『かあちゃん結婚しろよ』台風の夜、女ものの浴衣を着た田村高広と津川雅彦、新珠三千代と謝春国が夜の食卓を囲む場面。浅草「花やしき」の夜景。小さな船で佐渡へ出発する幼い兄妹。詩そのもの、の成島東一郎のカメラ。あえてモノクロを選択したのだろうか。ごく僅かな芥川也寸志の音楽も秀逸だった。

★443.冬の光 @早稲田松竹
★444.田舎司祭の日記 @早稲田松竹
★★445.大雷雨 @シネマヴェーラ
> R.ウォルシュ『大雷雨』シネマヴェーラ。大傑作。とにかく最初からずっと目が離せず、コメディ的な要素も多く、これはどんなキャストでも充分に水準以上の映画になったろうと思いながら観たがラスト、雨の中に佇むジョージ・ラフトとディートリッヒを見て納得。とにかく主演女優が素晴らし過ぎた。
> エドワード・G・ロビンソンがマレーネ・ディートリッヒに結婚を迫る場面。
「結婚なんて無理よ。あなたを愛してないもの」
「その分、俺が2倍愛するさ」

446.都会の空の非常線 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 野村孝『都会の空の非常線』ラピュタ阿佐ヶ谷。山内明の悪漢一味が勢揃いする場面が素晴らしい。雀卓を囲む高品格、木浦祐三、垂水悟郎、木島一郎。さらに弘松三郎、上野山功一、藤岡重慶、榎木兵衛。もうひとつ発見は杉山俊夫の音楽家としての力量。かなりの才能。英国のジョー・ブラウンに匹敵する?

★447.かあちゃんと11人の子ども @国立映画アーカイブ
448.モンテンルパの夜は更けて @神保町シアター
★449.王将一代 @新文芸坐
★450.下郎の首 @新文芸坐
★451.恐山の女 @国立映画アーカイブ
> 五所平之助『恐山の女』NFAJ。男が観ても震えるほど美しい、若き寺田農の姿がモノクロのフィルムに残されているだけで感動した。同じく美少年が初めて廓に上がる映画『骨までしやぶる』の夏八木勲を連想。池野成の音楽は素晴らしいがどれも同じ?武満徹の映画音楽や永井博の絵を思い出したり。

452.自由は何処に @新文芸坐
453.或る夜ふたたび @国立映画アーカイブ

454.100万人の娘たち @国立映画アーカイブ
★★★455.女と味噌汁 @国立映画アーカイブ
> 自分の鑑賞メモなんて全く当てにならないけど、観ている間笑ったり泣いたり身を捩ったり陶酔したり、という身体的な興奮と、幸福度みたいなものを観終わった直後にメモしておくなら、いま観てきた五所平之助『女と味噌汁』が今年最初にして唯一の星3つ。★★★遺作なのか。
> 五所平之助『女と味噌汁』NFAJ。この数年、旧作邦画を観てきて、池内淳子って好きな女優だったはずなのに川島雄三『花影』を除くとグッときた作品がないと思っていた。この作品を観て、自分は結局この人に東芝日曜劇場のイメージを求めてたのだと知る。この芸者てまり、は渥美清の寅みたいな当たり役!
> 『女と味噌汁』。フェリーニ『カビリアの夜』、翻案『スウィート・チャリティ』、成瀬『女が階段を上る時』アイデアを薄めに薄めた?話だが、そのお気楽・お気軽が自分の好みに合ったのか。配役もまるでTVのホームドラマ。でも観ていて幸福な小学生時代にスリップできた。

456.弾丸大将 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★457.大いなる旅路 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★458.視界ゼロからの脱出 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 村野鉄太郎『視界ゼロの脱出』ラピュタ阿佐ヶ谷。大傑作。ハラハラドキドキしながら観ていて連想したのはシネマヴェーラの「ジョゼフ・H・ルイス、アンソニー・マン、リチャード・フライシャー特集」。小型機と僻地?と犯罪。もう全く無駄のない娯楽作品。やっぱり映画は大映。
> 片足を引きずって歩く姿を見て職員の千波丈太郎が「xxxか」と言うや、狂ったように殴り倒す悪漢・大辻司郎。
それを見て中田康子が言う台詞「人には誰だって他人に触れられたくない部分があるの」
そこに畳み掛ける本郷功次郎の台詞「おれはあんたの触れられたくない部分を知りたいね」

★★459.夜の緋牡丹 @神保町シアター
> 千葉泰樹『夜の緋牡丹』神保町シアター。何年か前にシネマヴェーラで観たときも良かったが、これほどの傑作だったとは。やはりオレの目は節穴なのか。職人でありながら作家。「大人にしては夢を見てる時間が長過ぎる」人たちばかりの登場する映画。『生きている画像』と二本立てで観たい!!
> 忘れちゃならない高堂国典の可笑しさ。田崎潤のあっぱれ鈍ファンっぷり。伊豆肇の「薫くん」っぷり。北沢彪の落ちぶれメイク。山本禮三郎のポーカーフェイス。なによりも島崎雪子の二級天使っぷり!

460.女教師 汚れた噂 @シネマヴェーラ
★461.喜劇 各駅停車 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 東宝・東京映画作品なのに岡田茉莉子が出て『熱愛者』の井上和男が監督。小動物の死や、新婚の佐原健二が死ぬ列車事故など、不吉にして不快な演出が多いのに、不釣り合いに美しい岡崎宏三の撮影。楽しいのは三隅研次『なみだ川』の「恋をする安部徹」と同じくらい愛おしい「岡田茉莉子にモテてしまう三木のり平」。いろいろとバランスの悪い、でも妙に印象に残る、まったく笑えない「喜劇」。
>「他人の屁ばかり数えて歩いてる奴は殴られていいんだ。」井上和男『喜劇 各駅停車』森繁久彌のセリフ。

★★462.怒涛一万浬 @ラピュタ阿佐ヶ谷
> 「おい、ひとつだけ言っておく。いま目の前にある仕事に打ち込めない人間なんて、何をやっても物にならん」
福田純『怒涛一万浬』、三船敏郎が田村亮を叱咤するセリフ。

★★463.ローマで夜だった @新文芸坐
> ロベルト・ロッセリーニ『ローマで夜だった』新文芸坐。先週のいささか退屈な『自由は何処に』と正反対の大傑作。なぜか増村を連想させる前半はボロ泣き。「蛍の光」を歌う場面!一変、後半はヒッチコックとフリッツ・ラングを連想。エンドマークで拍手してしまった。大寺氏の講義も勉強になりました。

★★464.河口 @新文芸坐
★465.雲がちぎれる時 @ラピュタ阿佐ヶ谷
466.サーキットの狼 @ラピュタ阿佐ヶ谷

12月
★★467.昭和残俠伝 死んで貰います @新文芸坐
★468.日本侠客伝 @新文芸坐
469.のけぞる女 @シネマヴェーラ
470.少女暴行事件 赤い靴 @シネマヴェーラ
471.女教師は二度犯される @シネマヴェーラ
472.淫獣の宿 @シネマヴェーラ
473.犯され志願 @シネマヴェーラ
> 宇南山宏という俳優の魅力バクハツ、みたいな映画。ずっとこの人だけ観ていたい、と思ってしまった。
> あの串焼き屋の場面、ロマンポルノの枠を超えて、日本映画屈指の名場面でしたよね。全編この場面だけで良いのに、という幸福感。鉄道自殺、でしたか。。

★★474.警視庁物語 108号車 @ラピュタ阿佐ヶ谷
475.緋牡丹博徒 @新文芸坐
★★476.緋牡丹博徒 お竜参上 @新文芸坐
★477.夜霧のブルース @神保町シアター
478.忠臣蔵 @新文芸坐
★479.チンチン55号ぶっ飛ばせ!! 出発進行 @ラピュタ阿佐ヶ谷
480.荒い海 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★481.ズーム・イン暴行団地 @シネマヴェーラ
482.レイプ・ハンター通り魔 @シネマヴェーラ
★483.警視庁物語 深夜便130列車 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★484.イン・ザ・ハイツ @早稲田松竹
★485.サマー・オブ・ソウル @早稲田松竹
486.紅の翼 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★487.三十六人の乗客 @ラピュタ阿佐ヶ谷
★488.パリのスキャンダル @シネマヴェーラ
★489.裏切りの街角 @シネマヴェーラ
> ロバート・シオドマク『裏切りの街角』シネマヴェーラ。かつての恋人と密会したイヴォンヌ・デ・カーロが部屋のピアノで弾くのはなんと「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」。あれ?この映画のために作られた曲だっけ?と調べたら違った。悪女に運命を狂わされる男の映画。
> 悪役のダン・デュリエ、よかったが、この人は俳優として仕事している間ずっとリチャード・ウィドマークと間違えられていたのでは。

★490.蟲たちの家 @神保町シアター
> 黒沢清『蟲たちの家』神保町シアター。たった50数分のTVドラマだが、誰が見ても黒沢清の映画。緒川たまきの美しさ。この作品を『ドライブ・マイ・カー』の制作者の誰かが観ていたから西島秀俊が起用されたのだと信じる。

491.ノー・タイム・トゥ・ダイ @TOHOシネマズ六本木
★492.日曜日の人々 @シネマヴェーラ
> サイレントの時代にこんな素晴らしい映画が作られていたとは。5人の素人俳優も素晴らしいが、挿入された休日を楽しむ市井の人々や都会の日曜日を切り取った(偽の)ドキュメンタリー風カットが美しい。ジャック・アンリ・ラルティーグの写真集を連想したが、つまりなんというか、写真家の視点。あのリチャード・レスター『ナック』の、老人たちの挿入カットの原点。そして、女性の脚線美を愛する人たちへの目配せのような、印象的ないくつかの検閲逃れのショット。ロバート・シオドマクとエドガー・G・ウルマーの共同監督。さらにビリー・ワイルダーが脚本で加わっている。

493.夏の嵐 @シネマヴェーラ
494.丘の雷鳴 @シネマヴェーラ
★495.人間廃業 @シネマヴェーラ
> この映画に「初期の」「スラップスティックな」市川崑を見出しました。
> これもビリー・ワイルダーが脚本で参加。冒頭のロープを上りながら、ギャランティの値上げを交渉していくところはビリー・ワイルダーそのもの、という感覚。

★496.男たち @シネマヴェーラ



●2021年の42本
ジョージ・キューカー『素晴らしき休日』シネマヴェーラ
ジャン・ピエール・モッキー『今晩おひま?』ユーロスペース
森一生『藤十郎の恋』新文芸坐
ルキノ・ヴィスコンティ『郵便配達は二度ベルを鳴らす』新文芸坐
グリゴーリ・コージンツェフ『ハムレット』シネマヴェーラ
アーチー・メイヨ『化石の森』シネマヴェーラ
豊田四郎『新・夫婦善哉』ラピュタ阿佐ヶ谷
大島渚『愛と希望の街』シネマヴェーラ
長谷部安春『㊙︎ハネムーン暴行列車』ラピュタ阿佐ヶ谷
野村芳太郎『月給¥13,000.』ラピュタ阿佐ヶ谷
勅使河原宏『インディレース 爆走』シネマヴェーラ
斎藤耕一『花心中』ラピュタ阿佐ヶ谷
番匠義彰『クレージーの花嫁と七人の仲間(「乱気流野郎」改題) 』ラピュタ阿佐ヶ谷
木下恵介『この天の虹』神保町シアター
高橋治『七人の刑事 女を探がせ』ラピュタ阿佐ヶ谷
番匠義彰『太陽を抱く女』ラピュタ阿佐ヶ谷
番匠義彰『ウナ・セラ・ディ東京』ラピュタ阿佐ヶ谷
川頭義郎『おしゃべりな真珠』ラピュタ阿佐ヶ谷
篠田正浩『私たちの結婚』ユーロスペース
岩内克己『砂の香り』ラピュタ阿佐ヶ谷
カール・テホ・ドライヤー『怒りの日』シネマヴェーラ
鈴木清順『密航0ライン』ラピュタ阿佐ヶ谷
稲垣浩『秘剣』ラピュタ阿佐ヶ谷
ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『暗黒街』シネマヴェーラ
西川克己『絞首台の下』ザムザ阿佐谷
増村保造『ぐれん隊純情派』神保町シアター
赤坂長義『スター毒殺事件』シネマヴェーラ
濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』ヒューマントラストシネマ渋谷
伊藤大輔『おぼろ駕籠』新文芸坐
五所平之助『かあちゃん結婚しろよ』国立映画アーカイブ
ラウール・ウォルシュ『大雷雨』シネマヴェーラ
五所平之助『恐山の女』国立映画アーカイブ
五所平之助『女と味噌汁』国立映画アーカイブ
千葉泰樹『夜の緋牡丹』神保町シアター
福田純『怒涛一万浬』ラピュタ阿佐ヶ谷
ロベルト・ロッセリーニ『ローマで夜だった』新文芸坐
マキノ雅弘『昭和残俠伝 死んで貰います』新文芸坐
中原俊『犯され志願』シネマヴェーラ
村山新治、若林榮二郎『警視庁物語 108号車』ラピュタ阿佐ヶ谷
加藤泰『緋牡丹博徒 お竜参上』新文芸坐
野村芳太郎『チンチン55号ぶっ飛ばせ!! 出発進行』ラピュタ阿佐ヶ谷
ロバート・シオドマク『日曜日の人々』シネマヴェーラ


イラスト / 山本アマネ