第十八回 今日は車でどこへ行こう

今日は車でどこへ行こう
第十八回 「ごさい」

娘は昨年末、3歳になった。
けれど数日後の年明けとともに
自分の年齢を「ごさい」とサバを読むようになった。
「〇〇ちゃんは3歳でしょ?」と聞くと
「ちがーうー!!ごーさーいっ!!!」と。
怒り気味に訂正される。

そういえば保育園から幼稚園に転園して以来、
なぜか「しょうがっこう」に通っている、と娘は言い張る。
お姉さんという存在に憧れを抱いて、
そんなことを言い出したのかもしれないし、
1歳くらいの頃、近所の小学校の前を歩きながら
「いつか〇〇も小学校に通ってお勉強するんだよ~」と
私が語りかけていたのを覚えているのかもしれない。

そんなエージングに敏感な娘に、
また驚かされることがあった。
東京ドームシティ(旧後楽園ゆうえんち)へ
遊びに行ったときのことだ。
さまざまなアトラクションがあるものの、
年齢制限のあるものも多かった。
とあるゴーカートに乗りたいと思った娘。
6歳以上でないと運転席には座れないと知ると
「〇〇ちゃん、ろくさい」と主張し始めた。
挑戦的な目をしているが、口調が控えめなのは
初対面の大人を押し切るほどの勇気はないからか。
そこはやっぱり子どもらしいのだけれど。

明らかに2~3歳児に見える女の子が
「ろくさい」と言うので、スタッフは苦笑い。
嘘を言うのは胸が痛んだが、
助手席についているハンドルでも運転操作ができると言い含め、
娘を助手席に、私が運転席に、
どうにかゴーカートに乗ることができた。

子どもは年上のふりをしたがる。
年齢が上の子はできることが多い、ということを
敏感に感じ取っているんだな、と実感する。
小学校に通っている気でいる娘は面白い。
でも自分が幼稚園児であることを認めることが、
本人が望む成長のひとつなのだろうけれど。