第十三回 今日は車でどこへ行こう

今日は車でどこへ行こう
第十三回 不寛容に不寛容に

パリの友人たちが
出張で東京にきている
ということで会いに出かけた。

約10年ぶりの再会。
最後に会った時は
お互いに20代後半だった。
最近思い出すこともなかった、
当時のおバカな生活を懐かしみ
ゲラゲラと笑った。

会わない間に、友人のひとりは
子ども4人の親になっていた。
夫婦ともに長年フランスの
法曹界で働いてきたけれど
最近、奥さんが仕事を離れたという。
それだけ子育てには手がかかる、と。

フランスはヨーロッパの中でも
最も女性法律家が多く、
裁判官も女性が多数を占めつつある。
だから子育てと仕事を両立する為の
サポートが整っている(とされる)環境では、
奥さんのような「仕事をしない」という
選択肢に風当たりが強い、と話す。

日本は日本で、子どもが3歳になるまでは
母親が子育てに専念すべきで、
そうでないと発達に悪影響を及ぼす、
なんていう「三歳児神話」が未だにある。
信じがたいけれど。

社会や国が抱える課題はそれぞれ。
私たちは、それぞれが求める
多様性を実現していく。
その労働の大転換期に
まさに立っているのだろうな。

次はパリで会おうと約束し、
彼らとは別れた。
数日後、パリでは政府による
燃料税増税に反対する
「黄色いベスト」運動が
始まったけれど、
それはまた別の話。