今日は車でどこへ行こう 第五回 Inspiration and Love
人間の五感のなかで 嗅覚とは特別な存在だそう。
視覚、聴覚、味覚、触覚などは 人間の脳の視床というところを経由し、 大脳皮質に到達するけれど、嗅覚は別。 大脳に直結しているという。
かつてフランス生まれの メディカルアロマテラピーを習った時、 そんなことを教えられた。 そして脳が疲れ、体調不良だった 当時の私は香りに救われた。
つい先日、私は、自分の香り 「マイ・アロマ」を調香師の方に 作ってもらうという体験をした。
朝起きて、新しい一日を 気持ちよく迎えられるように。 そんな願いを込めてオーダーした。
まず調香師の方に現在の体調バランスや 普段の生活や嗜好についてなどお話し、 さらに行動心理学に基づいた チェックシートに回答していくという流れ。 その後、約60種類の精油を ひたすらテイスティングしていく。
己の嗅覚だけに頼り、 好きか嫌いか、という単純な感覚に 神経を研ぎ澄ませるという作業。 これが意外と楽しい。 さほど迷いもなく、さくさく決まる。
そして最後。 テイスティングで選別した精油をベースに 調香師が香りを独自にアレンジしていき、 最終的に約2週間熟成させたら完成となる。
不思議なことに テイスティングで私が選んだ香りは ローズゼラニウムなど、どちらかというと 甘くて、まろやかな香りが多かったけれど、 仕上がった「マイ・アロマ」は 頭の上に通り道ができるような シャキッとする香りだった。 そして身につけていると身体になじみ、 次第に穏やかな香りに変化していく。
もしかするとほどよく 人生の後押しをしてくれそう。 そんな予感さえする お守りのような香りに仕上がった。