RANDOM DIARY:COVID-19 馬場正道

コロナウィルスが存在する世界で暮らす一週間。
パナソニックのラジカセ。一枚の処方箋。
出勤前の歯の治療。レア・グルーヴと朝帰り。
カセットテープが60本。細かい雪が降り始める。

2023年2月6日(月)

 午前6時起床。8時出勤。最近はパナソニックのラジカセ、RX-FS27を車に乗せて出勤する。再生しながら早送りできるプレイヤーは便利で、これは最近の小さなプレイヤーの中でも、テープの巻き込みが少ない気がする。仕事の合間にテープを聴くため、ラジカセを持ち歩いている。
 薬局に着くと、病院から、祖母が明日退院するという知らせが入る。
 施設の部屋で倒れていたのが見つかり、入院。数値が安定せず、透析。もうダメかと思っていたが、数値が安定してきて退院することになった。医師からの説明で、原因は薬害だった。
 祖母が薬をもらっていた薬局に電話すると、慢性的に使わないはずの薬が6ヶ月間、1日3回で毎日処方されていた。
 処方を出していた医師からは無責任な説明をされ、退院した祖母は入院で寝たきりだった。そのため筋力の低下、認知機能の低下が現れ、施設には戻れないかもしれない、との説明を受ける。
 北海道に住む祖母、感染対策のため、東京からの訪問はとくに厳しく、行ったとしても会うことはできない。面会はリモートのみになります、とのこと。

 午後8時帰宅。
 まだ聴いていなかったカセットテープやレコードをひたすら聴く。

カセットテープ
・MEKAR JAYA / JAIPONG DANGDUT SONO
・HAREPAN BANGSA / KLININGAN DANGDUT VOL.Ⅲ
・LIBRA SISTERS / Musik  Abadi
・UDIN ZACH / INSTRUMENTALIA Jazz Pop

レコード
・Orkes Melaju SINAR KEMALA / TAMAN HIBURAN
・O.M. SUYATA / HANYA SATU
・O.M.PERMATA / ingin kenalan
・O.M. PERMATA / JANGAN CEMBURU
・O.M. IRAMA SENI / BAKUL GETUK VOL.Ⅰ
・O.M. IRAMA SENI / JANGAN MATA
・O.M. IRAMA SENI / RATU HATI
・O.M. IRAMA SENI / NASI RAWON
・O.M. BERLIAN / SELAMAT JALAN
・O.M. NIRMALA / SUNGGUH MULIA
・O.M. OMEGA / WANITA DAN BUNGA

 午前1時就寝。


2023年2月7日(火)

 午前7時起床。8時出勤。
 シロドシンの出荷調整の知らせ。薬がない、という状況がもう2年以上続いている。
 製薬会社の不祥事から始まり、戦争の影響による原薬の調達困難、円安、光熱費の高騰、陽性患者の処方急増、それに加えて、2年に1回だった薬価改定も今は1年に1回。毎年薬の値段が下げられている。いろいろな原因がある。
 今は漢方薬と咳止めが目立って入りづらい状況。ビタミン剤、てんかん系の薬は常に入りづらい。特に1錠10円以下の薬の入手困難が目立つ。ARB、Ca拮抗剤、骨粗鬆症の薬、まだまだここには書き切れないほど。さらに今年、4月に再び薬価改定がある。入らない薬はころころ変わる。1日で完結しない処方が増え、入荷したら電話。発送など。
 暖かい日だった。
 午後8時帰宅。11時就寝。

聴いたカセットテープ
・ABDULLAH HINDUAN / Gadis Berjilbab Hitam
・Diana Yusuf / Ya Habibi


2023年2月8日(水)

 午前5時起床。
 週に一回の歯医者。午前8時からやっている、ぼくがまだ小さなころから通っている歯医者。出勤前に歯の掃除と治療。
 ここで薬や最近の医療について、情報交換をする。午前9時出勤。
 薬剤師の仕事は処方箋一枚から想像を膨らませるような仕事。その一枚からひたすら、一日中逆算をしているようなイメージ。
 薬剤師が患者さんにいろいろ訊くのは答え合わせのような感じで、その疾患と薬が合わなければ保険も下りない。処方箋に書いてあるのは、薬の情報だけ。そこから適正な処方がされているか、重複投与されていないか、飲み方はその患者さんに合っているか、など、患者さんの話を訊きながら繋げていく。薬局にある薬歴に全ての情報があれば早いけれど、一つの薬局で全ての薬をもらっているとは限らないので、お薬手帳があると助かる。そこから薬歴に患者さん一人ずつのSOAP(電子カルテ)を書いていく。
 今の時期、寒くなると多くなるのは血圧に関する事故で、高血圧の患者さんには便を柔らかくする薬が出ている場合が多い。理由は、寒いと朝、血圧が上がる人が多い。排便のリズムも朝の人が多い。血圧の高いときに力むと血管が切れてしまうリスクがある。関係のないような薬でも繋がっている。薬をなぜ飲むのか、理由がわかるだけでもプラセボ効果が出てくる場合がある。患者さんには納得した上で薬を使って欲しい。寒暖差など、冬は特に血圧が上がる原因が多い。
 午後、添加剤によるアナフィラキシーを持っている患者さんの処方。COVID陽性。処方された薬の添加剤をひとつずつ調べると、ひとつ、ひっかかる薬があり、病院に処方変更の電話。薬を変えてもらう。
 午後8時帰宅。

 帰宅後、この日かけるレコードを選び、午後11時、下北沢、LIVEHAUSへ。
 0時イヴェント開始。ホシエイスケさん、ろっきーさんと朝まで。


2023年2月9日(木)

 午前7時帰宅。昼過ぎの起床。
 SP盤の整理、レコード棚を整理していたら夜になっていた。午後11時就寝。







2023年2月10日(金)

 午前5時起床。7時、細かい雪が降り始める。8時出勤。雪が積もりそうだった。車だと心配なので、電車で。  新型コロナ陽性者の処方箋がFAXで流れてくる。
 無症状だが、手術前のPCR検査で陽性とわかったらしい。とくに症状はないので、急性症状の薬はなく、普段飲んでいる慢性疾患の薬のみ、35日分の処方。
 COVID陽性の保険を使っているので、配達しなければいけない。いろいろ条件はあるけど、患者さんへの負担は無料になる。これはこの日、いろいろ調べて初めて知った。

 カセットテープのケースが60本分届く。
 自分がオーナーを務めるKIKI RECORDの売り物の棚から気になるカセットテープを抜く。
・NAGA MUSTIKA / BALA-BALA
・AMUDAS GROUP / ISTILAH
・ARIE KOESMIRAN / GADIS&LILIN2 KECIL
・SEKAR WANGI KARAWANG / DAYUNG SAMPAN

 雪の降った夜は明るくて、いつまでも起きていられるような気がしたけど、午前2時、いつのまにか眠っていた。


2023年2月11日(土)

 午前7時起床。祝日。
 前日雪が降ったとは思えないほど暖かい日。レコードの準備。
 この日は渋谷 BLOW UPにて、午後8時からOIBONさんと一緒にレコードをかける。
 レア・グルーヴの会、ということで普段かけないレコードを時間をかけて選ぶ。

 午後6時過ぎ、家を出る。
 OIBONさんのかけるレコードは今まで聴いたことのないレア・グルーヴばかり。自分以外の誰かが選曲した素晴らしい音楽、素晴らしい音。こういう音を聴かないと、何が良くて、自分が何を聴いたらいいのかわからなくなってしまう。
 午前1時前終了。もう終電がないので、くれたけビル、BALLとオルガンバーへ。
 午前8時帰宅。


2023年2月12日(日)

 午後1時起床。  SP盤の整理。ガレージへ行き、ジャケットのないレコードの整理。カセットテープの整理。引っ張り出したレコードの整理。再び整理だけで夜になっている。

 しばらく池袋のお店、スナック「馬場」はお休みしている。コロナ禍になってから、小さな飲食店、特にお酒を出すお店と医療の相性が悪くなってしまった。
 薬剤師として仕事をしつつ、合間にKIKI RECORDの作業。常に変わっていく現状を勉強しながら、どうすればいいのか、ずっと模索しているような、そんな毎日です。