コロナウィルスが存在する世界で暮らす一週間。
台風の備え。朝顔日記。青空文庫を読んで待つ。
ロボちゃんと補償なしの宅配便。猫は眠る。
魚の日に食べるインドネシア風サテ。
2021年9月18日(土)
天気予報では、未明から台風で強い雨が降るという。しかし、天気予報アプリで詳しくチェックすると、雨は5ミリ、風は3メートル。そんなに強くない。
台風の強さをチェックするのは訳がある。木造にFRP防水をした屋上に、趣味の園芸を気の赴くまま繰り広げているから。
今まで台風の時には色々あった。IKEAで安いと喜んでたくさん買った素焼きの巨大鉢は、倒れて割れた。物入れになっているベンチの上蓋、温室がわりにDIYで作った波板を貼ったミニ屋根、飛ばされた。隣の家に平謝りして取りに行った。なくなったと思ったベランダ用サンダルは隣の屋根に乗っていた。数日見て見ぬふりをした後、思いついて高枝バサミでなんとか取った。排水溝は葉っぱや土が詰まって、屋上全体に水が溜まり、オーバーフロー管から滝のように水が流れ出ていたこともある。
10年も経つと間抜けな私も学ぶ。普段から倒れそうな鉢は手すりにワイヤーで括りつけてある。大雨の前日には排水溝を掃除する。ベンチの上蓋はきっちり閉まっているかチェック。サンダルもコンテナにしまう。飛んだら危いものは置かないようにもした。
今回の風雨は、括りつけきれない鉢を、あらかじめ倒しておくほどではない。通常対応で良さそうだ、よし、と。
それに加えて、育てている朝顔の咲きそうな蕾を切り取って部屋に入れることも忘れなかった。台風となると、朝顔は咲いた途端に枯れたようになってしまうから。
昨晩蕾だった朝顔は、朝、全部開いていた。
おはよう。
2021年9月19日(日)
昨日から思ってた。明日は台風一過、お出かけ日和だと。久しぶりに海に行きたいなあ。調べてみた。うちから一番早く行ける海は?
去年4月に祖母が亡くなるまでの5年ほど、介護を担う私は私的緊急事態宣言下にあった。その制限の厳しさは私にとっては新型コロナ禍の比ではなかった。さて、介護が終わってみると、今度は世間が緊急事態宣言下。ワクチンを2回接種した今、海くらい行きたいのである。
建築家の夫は出不精。しかも、去年はこれまたコロナの影響で仕事の中止や延期が多く、今年はその分も働いていて、ここのところ夜遅くまで土日もなくコンピューターに向かっている。ダメもとで誘ってみた。一言ではなく、だいぶん長々と理由(愚痴)など混ぜながら誘ったはずだ。隣の仕事部屋から返事はなかったと思う。いつものことなので、気にもならない。
朝になって、予想通りの青空を恨めしく眺めた。
「あーやっぱりいい天気だよねー、出かける?」
返事は期待せず、大きな声で独り言を言った。すると、「うーん」と迷うような返事が聞こえたような。小さな「うん」を逃さず、あとは押し出すように出発!海に似合いそうな香水をつけた。
分岐点を間違えたせいで抜けられない渋滞にはまったりして、予定の1時間半の倍、なんと3時間(!)かけて、逗子に着く。なんだか騒々しい。もうランチタイムも終わっている。数少ない開いている店も、ピザは嫌だ、カレーは嫌だと言って通り過ぎ、どんどん進んでいくうちに、ここなら人が少なめと思える葉山についた。
砂浜を散歩。暑い。日がものすごく眩しい。太陽の方を見られない。下を向いて歩いていたら、足元に見慣れた植物が這っていた。家の駐車場のグラウンドカバーとして活躍しているクラビアの原種のイワダレソウだ。そうか、こんな砂浜で、暑さ寒さ、潮の混じる強風に耐えられるんだなあ。我が家の庭の方では一時繁茂した後、ほとんど枯れてしまった。色々耐えられるが、日陰には耐えられないのだと思う。
まだ暑いし、お昼ご飯も食べていない。コンビニでサンドイッチでも買って砂浜で夕日が見られればいいんじゃないか?ということで、そうすることに。コンビニで買い物はしたが、駐車場は緊急事態宣言で臨時休業中。どんどんどんどん南に進み、やっと車を停められる場所を確保し、夕日が見られる場所を歩いて探す。
奇跡的にいい場所が見つかった。疲れて頭が痛くなってきたが、ちょうどいい風が吹いて、波の音と虫の声。富士山のシルエット。遠くの海岸に街の灯りが見える。遅い昼ご飯を食べると、かわいいウニの殻を拾ったり、写真を撮ったり、日が沈み、暗くなる直前までそこで過ごした。
帰りは、1時間で家に着いた。残り物で夕飯。
楽しい気持ちなのに、頭痛はひどくなる。寝る。
2021年9月20日(月)
屋上とベランダの植物に水やりをして、昨日いなかったので拗ね気味の猫のご機嫌をとる。つまり屋上で一緒に過ごして、時々撫でる。
今日も青空。
去年スーパーで買ったミニダリアを植え替えたのが、たくさん咲いている。優秀。よく見ると、花びらに虫食い跡。花びらをめくってみると、所々、小さな青虫が隠れていた。見つかると逃げようとする。急いで指でつぶす。地獄があるなら、私は地獄行きだ。
三尺バーベナも、数年前、種をもらったきて撒いたのが、どんどん勝手に増えて、たくさん咲いている。ここには生えて欲しくないという場所のは抜いているくらいだ。これも地獄行きの要素か。しかし、地獄はあるのだろうか。多分ないと思う…。それでもやっぱり罪悪感は残る。
三尺バーベナは、夏が始まると咲き始め、いまだに咲いている。アゲハやツマグロヒョウモンなどの蝶がひっきりなしに蜜を吸いに来る。今はコンテナに勝手に種を落として生えていたりするが、植え替えて屋上の西側の縁にぐるっと鉢に並べて、木材で囲ってもいいかもなあと思う。
屋上の縁台に猫と並んで座りながら、携帯で昨日たまたま行き着いた海岸のことを調べる。近くに地魚の店があったらしい。次回行った時に食べたいな。その近くに大学の後輩が建てた、とても素敵な貸別荘があったので、借り方を調べてみる。そのサイトは、他にもおしゃれ貸別荘が載っていて、加地邸も貸していることを知る。どちらも私には高すぎる。
さ〜、こんなことをしている場合ではない。今日は一人暮らしの娘に、おかずを送る約束をしているのだ。研究者の卵の彼女はとても忙しい。私に似て、身体が丈夫でない。だから、時々食べるものを送っている。
夕方まで、材料の買い出し、おかず作り。前に作って冷凍しておいたものも取り出し、段ボールに詰める。栗おこわ、とうもろこしご飯、ロールキャベツ、イワシの梅煮、チリコンカン、トマトソース(夫作)、豚ヒレ肉のコンフィ(夫作)、青いパパイヤのサラダ、父がもらってきた美味しいチョコレート、フェルミエのチーズセット、ここまで入れて、何かちょっと足りない!と、食べかけのシャインマスカットを軸から取ってジップロックに入れ、牛蒡と人参のきんぴらを急いで作って足す。明日着くのにタイムリミットと言われた18時直前に近所のクロネコヤマトに出しに行った。
ブザーで呼び出すと、2階の事務所から年配の女性が降りてきた。冷蔵でお願いします、と荷物を渡すと、あー温かいもの入ってますね、食品の補償できませんよ、いいですか?と言われる。うー、最後に一品出来立てのものを足しちゃったんですよ、他は冷凍してあるものも多いんですが・・・と、にこやかに言ったが、笑ってはもらえず、補償できませんよ、と繰り返された。そ、そうですね、わかりました、と答える。動揺して、ぼーっとしてると、何でお払いですか?と聞かれたので、あ、出し忘れました、メンバーカード、と差し出した。それを機械にかざすと、にゃんにゃんにゃんにゃんと音をたてて、料金は引き落とされる。店員さんは、伝票にバンバンと「補償無案内済」のスタンプを押し、荷物に手際良く、伝票、冷蔵、生物などのシールを貼ると、控えを私に渡した。よろしくお願いします、と外に出ると、店員さんもすぐに荷物を抱えて出てきた。足早に冷蔵倉庫に持っていったようだ。真面目な人だ。
私は手に持った伝票を見る。「補償無案内済」のスタンプがちょっと寂しい。悪いのは冷やせなかった私なのだが、一生懸命作ったおかずに補償がないのだ。
とぼとぼ自転車を引いて帰ろうとすると、東の空に出たばかりの大きな丸いオレンジ色の月が見えた。明日は仲秋の名月ですわ。
2021年9月21日(火)
一昨日、昨日と頑張りすぎたか、朝はなかなか起きられなかった。
遅く起きると、夫が淹れたコーヒーがある。昨日、パンを買い忘れたので、一枚しか余っていないはずなのに、なぜか一枚残っている。古いバゲットも少しあったので、それは少し水に潜らせてから焼いた。遠慮して食べていなかった夫を呼び、パンを半分ずつ分け、チーズとチリコンカンを乗せて食べた。
今日はたまっている洗濯をする。トイレも洗面所も軽く掃除。食洗機から洗い終わってる食器を取り出し、シンクに昨晩から置きっぱなしだった洗い物を予洗しながら入れる。
洗濯物を干しながら、日記に何書こうかなと考える。記憶は曖昧だな。本当にあったことと記憶には故意でなくても若干の差がある。でも日記に書かなくても記憶はいつも差だらけだ。それがリアルなんだ、などと思う。
40代の親戚が病気で亡くなったと、同居している父から聞く。先日も70代の親戚が亡くなったばかり。死因は新型コロナではない。でも、今はそれ以外の病気で入院していても、面会できないそうだ。詳しいことは、かわいそうすぎてこちらからは聞けなかったと父は言う。辛い。私だったら、寂しくて頭がおかしくなりそうだ。
午後、先日一段落した仕事の請求書を作った。今日は満月なので、月の出の時間にカメラを抱えてポストに出しに行く。曇っていて月は見えない。そのまま近所を散歩する。月は諦めて、空を見ずに歩いていたら、友達からLINEが来た。
「月が綺麗ですよ」
月の見えそうなところに移動。雲の間に丸い月が見え隠れしていた。
2021年9月22日(水)
暗いうちから猫が私を起こしにかかる。とはいえ、猫は熟睡している人は起こさない。私の眠りが浅かったのだろう。
猫の起こし方は、わざと体の上を歩く、ほわほわの体を私の頬にくっつけてぐるぐる音を聞かせる、私の顔に手を置き、ほんの少し刺激はあるが痛くない程度に爪を出す、私が制止できないように手の届かないくらいの場所で大きな声で鳴く、などだ。昔は、みぞおちを踏む、お尻を私の顔につけるというのもやっていたけど、こちらも若干弱ってきて気を使ってくれてるのか、あちらも大人になったからか強烈なのはやめたようだ。
朝ご飯を食べたら、屋上に出て、朝顔の写真を撮ることにしている。誰に見せるわけでもない、自分のための朝顔日記だ。
去年友達に種をもらって、娘が小さい頃以来、久しく育てていなかった朝顔を育てた。だから、今年蒔いた種は、去年取れたものだ。夏から初秋の間だけだが、居間から屋上を見上げると朝顔が目に入る。毎年細々とでも続けられたらいいなと思う。
自転車で整形外科へ肩のリハビリへ。肩関節周囲炎(俗にいう五十肩)は、去年の5月に始まった。多い時は週3回だったリハビリが、今は10日に1回になり、そろそろゴールが見えてきた。
リハビリは待ち時間も長い。携帯で本を読んで待つ。青空文庫で、前に読んで、なんとなく覚えている話を読み返す。夏目漱石の「草枕」、芥川龍之介の「六の宮の姫君」、「蜜柑」、「歯車」など。覚えていた印象と違うことも多い。どれも若い頃に読んだので、今読むと、大人になってわかる視点、気になるところもある。
帰りにスーパーに寄る。夕飯のお混ぜ丼のための刺身とか、明日の夕飯のための豚肉とか。メニューを考えるのを楽にするのと栄養バランスのために、メインは肉、魚、肉、魚・・・の順と決めている。母が作ってくれている時からそうだった。なので大体、魚の日に二日分の買い物を済ます。
しかし、最近は野菜が高いなあ。無農薬無化学肥料で育てている大平農園の会員になっているので、週に一回取りに行って、それで大部分は足りているのだが、農園は、働いている人の老齢化、泥棒に野菜を取られる、天候など事情があって、三週連続お休み中。
2021年9月23日(木)
秋分の日。と言っても、土日祝日があまり関係ない仕事なので、祝日は忘れることもある。
目覚ましで起きるのは嫌いなので、いつも起きた時間、もしくは猫に起こされた時間に起きる。
朝ご飯は、全粒粉パンと、何かしらのタンパク質と野菜と果物、カフェオレ。朝ご飯を抜かすことはない。
食後、床のものを椅子の上にあげて、ブラーバにシートをつけて始動。父が、掃除に精を出すブラーバをロボちゃんと呼んでから、私もロボちゃんと呼んでいる。ロボちゃんができない階段やトイレ内、細いところは、私がクイックルワイパーで、一階から三階までの床をまるっと掃除。
続けて、飾ってある灯台躑躅(ドウダンツツジ)の枯葉も片付ける。
7月上旬に剪定した時の枝を飾ったものが、全然枯れないなあと思っていたけど、流石に葉が茶色くなって床に落ちるようになってきた。枝についている枯葉も一緒に取り除いていると、おっと、葉の付け根に緑色の新芽が出ている。
写真に撮ろうとしたら、携帯の容量がいっぱいだと表示された。ふーっ、久しぶりにハードディスクに写真を取り込むか。猫とか植物とか、撮りすぎか。
猫の写真は娘に毎日LINEでバンバン送る。ちょっと送らないでいると、催促がくる。
そもそも猫を飼いたいと言い出したのは娘で、11年前に保護猫をもらったのだ。一人暮らしを始めてから3年半、最初の2年は、何かと理由をつけて帰って来ていたが(そう新型コロナが流行る前までは)、ここ1年半ほとんど帰って来ていない。
娘は話せばいつも面白い。もちろんLINEでも話せるが、実際に一緒にいた時に比べたら僅かな会話だ。独立するのはいいことだが、コロナ前みたいに行き来が自由だといいなと思う。
夕飯にバターナッツかぼちゃでスープを作った時、冷蔵庫の牛乳を全部入れてしまったので、食後、運動も兼ねて駅前のスーパーに牛乳を買いに行く。少し遠回りして公園に寄ると、南国の花っぽいすごくいい匂いがする。辺りを見回すと、ジンジャーリリーが咲いていた。
白いジンジャーリリーの名前は、ハナシュクシャ、インドから東南アジア、中国南部、原産、日本には江戸時代にきた。香水の原料にもなる。
2021年9月24日(金)
先週、春に買った野菜の種の残りを屋上の鉢に蒔いた。蒔いた、と言うと一言だが、30cm✕70cm、高さ30cmのプランターの、今生えているヤマオダマキを抜いて庭に植え、埋もれていたサフランの球根を掘り出して乾かす、残った土は重たくていっぺんには運べないので、3回に分けて庭まで運ぶ、鉢に残った土や根を取り除いて、びしょ濡れになって洗う。新しい土の配合をネットで検索して混ぜ合わせる(配合済みの土を使うのは性に合わない)、冷蔵庫に保管していた種で蒔き時が9月のものをチョイスして蒔く、という一連の作業が含まれている。面倒か?というと面倒だが、楽しいか?というと楽しい。
春の時は、小さい種まきトレーに蒔いて、せっかく芽が出たのに、ひどく暑い日に水やりをせず、大半を枯らしてしまった。生き残り組も、土か鉢が合わず大きくならずに枯れたもの、青虫に成長点まで食べられて枯れたものもある。野菜は美味しいのだろう、虫に食べられやすい。庭も屋上も無農薬で植物を育てているので、虫は避けられない。
今回は、小さいトレーは水やりを忘れる私には向かないから、大きなプランターに蒔いた。
21日に芽が出始めたのを確認。今朝見たら、もっと出ている。今度こそ成功させたい!ということで、芽のうちから防虫ネットを被せることにした。
ネットで検索すると、「すっぽり虫よけカバー」というのが便利そう。だが、在庫切れだったり、営業日7日以内に出荷となっていたり。そこで、近所に唯一ある小さなホームセンターに電動自転車で向かった。
自転車置き場は、屋外園芸コーナーの横にある。
植物を横目で見ながら、建物の入り口に向かうはずだったが、赤いシールが目に付く。30パーセントオフ、半額、上の方には「商品入れ替えのためセール中」的なことが書いてある。その中に、以前欲しいなあと思ったけど、値段が高いのでやめておいた木が2本見つかった。両方半額。深山含笑(ミヤマガンショウ)高さ2メートル強と、青木の駿河弁天。これは自転車では持って帰れない。夫に電話、車で取りにもらうことに。自宅自営業の強み。電話を切って、カートに乗せて運んでいると、葉が建物の天井に当たる。うちのミニクーパーに乗るのか?不安がよぎる。
肝心の防虫ネットも忘れなかった。骨のあるすっぽり被せるタイプがなかったので、大きい網を買い、自分で工夫することにした。
夫がやって来て、深山含笑を車にねじ入れる。案外入るんだよ、と言ってギリギリ乗せて帰っていった。
昼食後、ソファで事務仕事をしていると、猫が隣で寝始める。
屋上で虫除けネット設置。やっぱり猫は横にいる。
食材を買いに行けなかったので、魚の日ではあるが変則的に、夕飯は、冷凍庫の鶏肉を解凍して、インドネシア風サテを作って食べた。
大学の同じ学科を卒業した人の同窓会が企画されていて、幹事の仕事を手伝っている。去年は延期されたので、今年は一つ下の代と一緒に開催する予定だったが、結局新型コロナがおさまらず、集まれない。何かオンラインでできることをと相談して、後輩を応援するコンペを開催することになった。懇親会会費を応援資金として集め、後輩が出した面白い企画に、お金、知識、人脈、場所などを提供して応援する企画。応募者にメールして名簿を作ったりするのは私の担当で、今日はコンペ応募締切日だったので、夜は駆け込みの応募メールに対応していた。最初は応募者いるかな?と疑わしく思っていたが、それなりに集まり、な面白そうな案も出てきそうな予感。