レイヴン

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レイヴン

奴等に会うのは
もうやめた
カフェで不味いメシつついて
あれやこれや

こんな処で
くすぶってたって
ちっとも頭が良くなった気がしない

窓から飛び出し
屋根から屋根
腑抜けた空を切り裂いて
舞い上がる
オレは仲間に会いに行く
ハイウェイ沿いに
飛んで行こう

ドライブイン
壊れたジュークに潜り込み
ペリーコモ
パットブーン…
エルビスだけ
失敬した
バレたって
コーヒーカップに
顔突っ込んで
知らん顔さ

トラックドライバー達
もみあげは
伸ばしてないけど
みんな知的な顔で
店を出ていく
夜の中へ
道の先へ

インターチェンジ
国道沿いの
パラダイス
馬鹿げた名前のホテル
ネオンサインに降りたって
羽根を休める
ここはなんだか
ひどい匂いがする
名前と裏腹
ラブは関係ない

次から次へすべりこむ車
嫌な声で哭いて
からかってやった
女が悲鳴をあげる
おもしろいけど
すぐに厭きてしまう
オレは大概の事にすぐ厭きてしまう

暗い空から
舞い降りて
仲間を探した
間抜けた
埃っぽい街

パーキング
駅前のロータリー
公営住宅の外れ

こんな場所で
オレ達さんざん
騒いだり
獲物を狙ったり
身をよせあったり
してたから

だけど
誰も見当たらない
みんな何処へ
消えたんだ?

遠くへ
飛び立ったのか
捕われて
残らず焼かれたのか
羽根いちまい
黒い影ひとつ
残っちゃいない

いづれにしても
オレはもう最後の
1人なんだ

歩道橋の上で
ダンスしよう
行く場所も
帰る場所も
失くした
このベッドタウンに
唾吐いて
歌は空しく
夜に響くだろう

あの娘に手紙を書いてある
でも届けられない
空のずっと上
天の果て
そこまで
舞い上がる力が
オレには
無い