私のかけら 37  長谷部千彩

――これはかけら。季節のかけら。東京のかけら。私のかけら。

7月×日 ゼロの焦点

今日も気温は30度超え。

打ち合わせの後、シネマヴェーラ渋谷に映画を観に行く。野村芳太郎監督・松本清張原作『ゼロの焦点』。観たことある作品かな?と思いつつ鑑賞していたのだけれど、初見だった。松本清張の映画作品って、何本か観ているけれど、語り口が似ていて、どれがどれだかわからなくなる。『鬼畜』だけは特別印象に残っているけど。
劇中、重要な役で登場する高千穂ひずるが安野(モヨコ)さんに似ていた(たぶんメイクのせい)。前々から思っていたけれど、安野さんの顔立ちには、どこか昭和の女優さんのような雰囲気がある。

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7月×日 形のない骨

午後。雨上がり。六本木に試写を観に行く。小島淳二監督『形のない骨』。

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7月×日 サマーウォーズ

昨日は、細田守監督アニメ作品『サマーウォーズ』を観た。数日前に鑑賞した同監督の『時をかける少女』がとても面白かったので期待していたのだけれど、結論から言うと、私の中では『時をかける少女』を超えることはなかった。
この『サマーウォーズ』という映画、親戚一同が集まる田舎の夏というものを、すんなり、いいなあ、と思えるかどうかで印象が大きく変わるような気がする。
私は、親戚づきあいの少ない家庭で育ったこともあって、映画の初めのほう、田舎の大家族を肯定的に描く作品だということがわかった時点で、残念ながら、感情を重ねることができなくなってしまった。
特に気になったのは、集まった親戚の男性たちは皆、さまざまな職業についていて、物語の中でその特性が活かされるにもかかわらず、女性たちは台所で食事を作るシーンばかりというところ。いつの時代の話なのだろう、と思ったけれど、どうなのだろう、男は仕事、女は家事、というのは、私が知らないだけで、いまの時代も変わりないのだろうか?作中、大事なこととして描かれる、親戚一同(総勢26名!)で卓を囲む食事シーンも、準備、片付けを想像して、気が遠くなってしまった。決して面白くないわけじゃないのだけれど、テンポ良く進むストーリーを追いながらも、あちこちに小さな引っかかりが。
そういえば、細田監督の新作『未来のミライ』の宣伝を毎日見かける。これも家族をテーマにした作品らしい。興味はあるけど、私にも楽しめるものなのかな。家族といっても、いろいろな形があり、いろいろな面を備えている、いいものであるとも悪いものであるとも一概には言えない、と考える私は、細田作品、観たらまた違和感を覚えるのだろうか。

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7月×日 知らない街を

7月は、あまり元気が出なくて、家にこもっている日が多かった。もともと夏が苦手な上、なにしろ今年は暑すぎる。やらねばならない仕事のみこなして、あとは冷房の効いた部屋で、マンガを読んだり、昼寝をしたり、まるで夏休みの小学生。
とはいえ、全く出かけていないわけではない。先週は、一泊旅行に行ってきた。美味しい食事と夜の散歩。近場であっても、東京を出るのは楽しい。
振り返ってみれば、今年は、毎月旅行に出ている。高崎、秋田、札幌、京都・・・国内はもちろん、二月に香港、五月にはフランスとクロアチアへ行った。車を借りて回ったクロアチアが、初めて訪れた国ということもあり、特に面白かった。途中、ボスニア・ヘルツェゴビナに立ち寄れたのも良かったな(EUに加盟している隣国クロアチアに比べ、段違いに質素な雰囲気が、昔の東欧を思い出させた)。
この三年ほど、渡航先が香港ばかりになっていたけれど、この頃、違う街(国)へも行ってみたくなっている。これと言って行きたい場所があるわけでもないけれど、ふらりと知らない街を訪れてみたい。
とはいえ、すべてはこの暑さが過ぎ去ってからの話。動きやすくなるのは9月半ばあたりだろうか。あと一か月半・・・今年の夏は長いなあ。