私のかけら 36  長谷部千彩

――これはかけら。季節のかけら。東京のかけら。私のかけら。

7月×日 つらつらわらじ

先週から読み始めたマンガ、『ふたがしら』は読破し、今週は同じ作者、オノ・ナツメさんの『つらつらわらじ 備前熊田家参勤絵巻』(全五巻)を読んだ。参勤交代のため江戸に向かう備前岡山藩一行の旅をロードムービー風に描いた作品。参勤交代という言葉は学生時代に習ったものの、行列がぞろぞろ進んでいく、ぐらいのイメージしかなかったので、当時の人々がどのように旅をしていくのか具体的に知ることができて、とても面白かった。時代設定が、緊縮財政の策をとった寛政の改革あたりなのだけれど、それに反対する岡山藩主の豪放磊落なキャラクターが実に魅力的(モデルがいるらしい)。型破りな藩主に振り回されながら、旅を通して成長していく、17歳の新米家老の姿も微笑ましい。最終巻の本を閉じる頃には、読んでいるこちらも共に旅を終えたような清々しい気持ちに。参勤交代をとりあげて、こんなに豊かなドラマを作れるものなのか、と感服。このところ、立て続けに江戸時代を舞台にしたマンガを読んでいるため、にわかに江戸時代に興味が湧いている(ネット検索大いに活用)。