私のかけら 35  長谷部千彩

――これはかけら。季節のかけら。東京のかけら。私のかけら。

6月×日 ふわふわ

今週は、旅行に出たり、親に会ったり、展覧会を観たり、打ち合わせも二、三あって、外出の多い一週間だった。アニメもコツコツ観た。中でも特にオノ・ナツメさん原作の時代劇『さらい屋 五葉』が良かった。剣の腕は立つのに、あがり症で人前では力が発揮できず、そのため藩主に暇を出されてしまった若い侍が主人公。そんな彼が、ひょんなことから人さらいの一味「五葉」の仲間に引き入れられ。裏稼業に手を染めて・・・という話。小説にしても、映画にしても、普段は登場人物に自分を重ねて楽しむことはしないのだけれど、私もあがり症なので、めずらしくシンパシーを抱きながら最後まで観た。主人公が反省ばかりしているところも、他人とは思えないなあ、と。それで、原作のほうはどんな感じなのだろうと思い、コミックスを買って読んでみたら、エンディングがアニメと違っていて、さらに面白く、感動的で、結局、二回通読(全八巻)。その後、同じ作者の『子連れ同心』を読み、いまは、ふたりの盗賊が主人公の『ふたがしら』を読んでいる。どれも舞台は江戸時代。
というわけで、ひとに会う機会に恵まれた一週間だったにも関わらず、頭の中をマンガの楽しみが占めてふわふわしている。