フィギュアのあさみさん第10回

第十回『あさみさんフィギュア制作スタート!』

こんにちは、あらごんです。 前回は、中国で発売されたオリジナルフィギュア「Just a girl」が、どのような経緯をたどって日本で販売されたか、また現在どのように展開されているのかをお話ししました。

今回は、そんな「Just a girl」開発の裏でひっそりとスタートした、あさみさんフィギュアの制作についてです。

話はWOWORKSさんとの契約がまとまり、「Just a girl」の制作が始まった頃に遡ります。

製品化が決まったことでWOWORKSさんとのオンラインミーティングは週に何回かあるものの、制作や生産に関する作業は僕たちの手を離れたので、毎日のようにフィギュアを作り続けていた頃と比べると自分たちの時間にグッと余裕が出るようになりました。

ちょうどそんな折に、WOWORKSさんを最初に紹介してくださった、中国のMさんから連絡が入りました。

内容は「台湾で新しくオープンする、アートトイや雑貨を扱うお店something GOOD!のオープニングイベントに作品を出してみませんか?」というもの。

スケジュールを確認したところ、2ヶ月ほどの時間があったので、このイベントに合わせて当初の目標であったあさみさんフィギュアを制作することにしました。

手順を簡単に説明していきます。

まず、3Dソフトで元となる3Dデータを製作した後、そのデータを3Dプリンターにて立体出力。

出力されたものを確認しつつ、細かな部分を再び3Dソフトにて修正し、それをまた出力。この作業を納得いく形になるまで繰り返していきます。

そして、ここからが「Just a girl」の時と少し違うポイントです。

自宅の3Dプリンター「クホリア」で出力する際には、フィラメントというものを使用するのですが(通常のプリンターでいうインクのような役割)、ちょうどこの頃「ナノダイヤフィラメント」というものが普及するようになりました。

この「ナノダイヤフィラメント」を使って立体を出力すると、今まで以上に造形物のキメが細かく、表面もツルツルな状態になる優れものとのことだったので、さっそく取り寄せ、まずは通常のフィラメントとナノダイヤフィラメントの両方で出力して比較してみることにしました。

白い方がナノダイヤフィラメントで出力されたものです。
通常のフィラメントでも十分滑らかですが、ナノダイヤの方がよりツルツルになっているのがわかります。

これなら、このあと行う「表面を滑らかに整える」という作業が格段に楽になります。
通常のものより少しコストは増えますが、ここは品質優先でナノダイヤの方を使用することにしました。

出来上がったものがこちらになります。

今回は大量に生産して販売するという訳ではなく、数体あれば十分なので、複製業者には依頼せず、プリンターで出力したものを一体ずつ磨き上げ、制作することにしました。

という訳で、滑らかにした出力品を水性塗料で彩色して乾燥機にかけます。
その後、艶出しスプレーを吹き付けて、再び乾燥させた後、白船工房さんに新たに依頼したあさみさん用のペーパークラフト眼鏡を装着させて、フィギュアの完成です。

さらに先述した台湾でのイベントのために、別のバージョンも用意しました。

今回出展するオープニングイベントは、something GOOD!さんのショップカラーに合わせたアートトイを参加アーティストが制作するという企画なので、こちらのカラーを一点モノとして展示・販売します。

最後に前回のフィギュア同様、ブリスターパッケージ風にして、本当に完成です(台紙は新たにデザインしたもの)。

あとはこれを台湾に発送すれば無事終了!…という訳にはいきません。

実は、今回のイベントでは、参加アーティストはフィギュアとは別にキャンバスアートを描き、それとセットで展示・販売することになっているのです。

…キャンバスに絵を!?

アーティストなら普通に出来ることかもしれませんが、僕自身アーティストのつもりはありませんし、キャンバスに絵を描くなんて、高校の美術の授業で油絵を一度か二度、描いたことがあるだけです。

フィギュアだけでは参加できない。参加するにはキャンバスアートを制作しなくてはならない。
しかしキャンバスアートなんて描いたことがない……。

想定外の事態ですが、こうなったら開き直って、アーティスト気分でキャンバスアートに取り掛かるしかありません。

果たして、このような状態の僕にキャンバスアートを完成させることはできるのか?
そしてsomething GOOD!さんのオープニングイベントはどうなったのか?

続きは次回お伝えしたいと思います。

それではまた来月!