フィギュアのあさみさん

第六回『海外企業からのお誘い』

こんにちは、あらごんです。
前回は、ワンフェスでフィギュアを買ってくださった中国のMさんから、「あなたのフィギュアをワンフェスで買いました、すごく良いです」「よかったら今度開催する上海トイショーにこのフィギュアを展示・販売しませんか?」という海外イベント参加のお誘いをいただき、それに向けて再びフィギュアを量産、無事上海トイショーを終えたというところまでお伝えしました。

今回は上海トイショー後、Mさんから再び連絡が来るところから始めたいと思います。

上海トイショーを終え、販売したフィギュアも完売してホッとしていたところにMさんから連絡が入りました。その内容は、なんと「フィギュアを中国の玩具会社で制作・販売をしてみないか?」というものでした。

依頼してくださった玩具会社はWOWORKSさんという企業で、Mさん自身もアーティストとしてここに所属されています。WOWORKSさんは、元々は日本の有名な数々のキャラクターフィギュアを下請けで制作をされていましたが、最近アートトイの制作・生産という部門を立ち上げたばかりで、ここから僕たちのフィギュアを製品化して、アジアの玩具イベントで販売したいとのことでした。
これ以上自分たちだけでフィギュアを生産していくことは、さすがに大変すぎると痛感していた矢先に、何ともありがたいお話です。

そしてこれは初めて話すのですが、実はこの申し出の前日、香港の企業からも「上海トイショーで作品を拝見しました。一緒に仕事をしたいです」との連絡をいただいていました。ここもアジアのアートトイ界で、とても人気のあるキャラクターフィギュアを制作されている企業です。

正直「フィギュアに関して素人の自分たちがこんな仕事をしていいのか!?」という想いもあったのですが、もう日本と中国のイベントや通販で何十体も販売してしまったうえに、毎日のように海外の方から販売してほしいと連絡をいただいていて、そこに2つの企業からこのようなオファーがあったのですから、さすがにこの現状はマグレではないと確信しました。

2つの企業のうち、どちらを選ぶかとても迷いましたが、恩人であるMさんの紹介ということもあったのと、担当の方とお話し、下請けだけではなく、立ち上げたばかりのアートトイという産業をこれから盛り上げていくぞという意気込みをとても強く感じたので、僕たちは最終的にWOWORKSさんとお仕事をすることに決めました。

そしてここからが中国の企業のすごいところなのでしょうか。
こちらが一緒に仕事をしたい旨をお伝えした日のうちに、条件面や契約に関しての話し合いが始まりました。
しかも僕たちが日本人ということで、わざわざ日本語のできる方が通訳として立ち会ってくださり、準備万端という感じです。

これらの話し合いは全てLINEのグループチャットで行われました。僕自身、いままでLINEというアプリが個人的にあまり好きではなかったので、頑なにスマホに入れていなかったのですが、仕事となれば話は別です。何年も封印してきたLINEを即スマホにダウンロードしました。

LINEでの会議はとてもスムーズに進み、条件面諸々も決まったところでいったん解散となりました。
しかし、ここからがWOWORKSさんの本当にすごいところです。
なんとその数時間後に、契約書を用意したのでまずはデータで目を通してほしいとLINEに連絡が入り、しかも用意された契約書はすべて日本語訳が付いていて、日本人の僕がすぐに読める形式なっていました。
とにかく何事もスムーズかつ即決・即断で物事が決まっていくので、このフットワークの軽さなら僕たちと気が合うなと、この時確信しました。

数日後、契約書が中国より届いたので、内容を念入りに確認しサイン。早速、サインした契約書とサンプル用にと自分たちで制作したフィギュアを一体同封し、中国に送りました。
こうして僕はWOWORKSさんとデザイナー契約を交わし、本格的にオリジナルフィギュアをデザインをすることになったのです。

更に数日後。なんと僕たちが送ったサンプル用のフィギュアを参考に、製品版の初期サンプルを作ったので実物を送りますとの連絡がきました。
届いた初期サンプルを手にすると、こちらのアドバイス無しで既にかなりの完成度に達していて本当に驚かされました。

さすがに「完璧」とまではいかないものの、少し手直しをすれば、僕たちが作っていたものよりも精度の高いフィギュアになりそうな出来栄えです。

ちなみにサイズも元のものより一回り大きくなっています。
WOWORKSさんの話によると、アートトイとしてはこの全長10.5cmが一般的なサイズらしいので、製品版はこのサイズにすることになりました。

送ったフィギュアから、たった数日でこれだけのものを簡単に作り上げてしまうとは…。
僕たち夫婦が一体完成させるのにものすごい時間とお金がかかったことを考えると、恐ろしいまでのスピードとクオリティです。

これはすごい企業が味方になったぞ!
いままで夫婦二人だけで活動していた僕たちに、この上なく強力な助っ人が加わりました。
WOWORKSさんの登場により、「生産」ではなく再び「制作」に重点を置いた活動ができるようになったことは本当に嬉しかったです。

という訳で次回は、WOWORKSさんと共同でスタートした製品版フィギュアの制作についてをお伝えしようと思います。

それではまた来月。