フィギュアのあさみさん

第五回『ワンフェスを終えてその後』

こんにちは、あらごんです。
前回は、フィギュア販売イベント、ワンダーフェスティバル(以下ワンフェス)にオリジナルフィギュアを展示、販売するという目標を何とか達成することができたというところまでお伝えしました。今回はそのワンフェス後の出来事を振り返りたいと思います。

ワンフェスが終了して3日後、Instagramに一通のメッセージが届きました。送り主は、ワンフェスでフィギュアを購入してくださった中国の方、Mさんからでした。

内容を要約すると
・あなたのフィギュアをワンフェスで買いました。とても良い仕事です。
・私のSNSに写真をアップしたところ、とても評判です。
・是非友達たちの分も作って欲しい。
・よかったら「上海トイショー」というトイイベントにフィギュアを出してみない?
といった内容でした。

手作りゆえに、ワンフェスでも11体しか制作・販売出来なかったフィギュアだったにもかかわらず、そのうちの1体が海外へ。そこから僕たちのフィギュア製作は、予想もしなかった方向へ転がり始めます。

Mさんとチャット状態でメッセージのやりとりをし、お話ししたのですが、この方は中国を拠点にフィギュアのお仕事をされていて、ご自身でもフィギュア制作やペイントをされている、バリバリのプロの方でした。そして、中国をはじめとしたアジア各国では、いまこのような個人によって制作されたオリジナルのフィギュアやソフビがとても人気が高いこと、制作者はアーティストと呼ばれ、その制作物は「アートトイ」と称され、アジア、更には世界中のトイマニアを熱狂させていること、このような「アートトイ」を扱ったイベントがアジアでは頻繁に開催されていること等々、色々と教えて下さいました。

正直ワンフェス後は目標を達成してやりきった感があり、俗にいう燃え尽き症候群というものになりかけていましたが、こんなすごい方からご依頼をいただいからには、引き受けないわけにはいきません。
夫婦ともども「よしやるぞ!」とスイッチが再びオンになり、やる気モードでフィギュア制作を再開。
上海トイショーに販売する分、中国の方から依頼されたお友達の分、日本で個人通販する分等々、これらを1カ月かけて、二人がかりでなんとか作りあげました。

せっかく上海のイベントで販売するので、上海トイショー限定の黄色いTシャツバージョンも加えています。

そして無事フィギュアを中国に送り、上海トイショーに出展することが出来ました。

このイベントでも各色5体づつの計15体しか出品できませんでしたが、ありがたいことにイベント開始直後に完売とのこと。
そして、このイベントでフィギュアを販売した影響からか、Instagramにはフォローの通知が次々と来るようになり、このフィギュアを是非売って欲しいというメールもたくさんいただきました。

比較的初めの頃に連絡してくれた方には嬉しくて「OK OK」とフィギュアを作って送る約束をしていましたが、メールがあまりにもたくさん来るので一旦ストップ。気が付けば、また大量のフィギュアを制作することになってしまいました。

しかし、制作中も変わらず販売依頼のメールは届きます。その都度お断りさせていただいていたのですが、中には「友達の彼女にとてもそっくりなので彼女の誕生日にこのフィギュアを贈りたい」なんて内容のメールもありました。このご依頼をはじめ、何度もメールを下さる熱心な方にはさすがに断り切れず、少しお待たせするかもしれないという条件つきで注文を受けてしまい、また制作する数が増えていくことに…。

そんなことを繰り返していたため、この年は仕事以外ですと、春先までずっと夫婦でフィギュアを作っていた記憶しかありません。最初は楽しく作業していたのですが、最後の方はさすがに疲労困憊。この期間はもはや「責任感」という言葉のみに突き動かされている感じでした。

それでも頑張った甲斐があり、最初の頃から数えると約80体近くのフィギュアを手作りで完成させました。そして無事送り届けたアジア各国の方々がInstagramに投稿しているのを拝見し、とても嬉しく思いました。
ちなみに先程触れた「友達の彼女に似てるので誕生日にプレゼントしたい」と依頼してくださった方にもフィギュアをお届けし、後日その方からは、誕生日の写真が届きました。本当にこのフィギュアにそっくりな女性で、なんと服装までフィギュアと合わせてくださっていて、「ああ、本当に作ってよかったな」と胸がいっぱいになりました。

ただ、このフィギュアを大量制作していた期間に思ったことがあります。それは、自分は「新しい何かを制作することは好き」だが、「それを大量に生産することはそんなに好きではない」ということです。
はじめは自分たちのフィギュアを欲しいと言ってもらえるのが嬉しくて何体も制作していましたが、さすがにこの量となると仕事外の時間は、ほとんどフィギュア制作にあてられてしまいますし、段々と疲労で手元が狂って失敗してしまう個体ができてしまうこともありました。

依頼されたフィギュアをなんとか作りきり、このことを一緒に制作してきた奥さんに伝えたところ、彼女も同じ思いでした。
なので、ここで「量産」はストップし、自分たちは次なる新作の「制作」に取り掛かる決意をするのでした。
とても長い前振りになってしまいましたが、当初の目標である僕の漫画のオリジナルキャラクターあさみさんのフィギュア化計画です。

同時に、その間にも通販を依頼されるメールを何通もいただいていて、それも何とかできないか…と悩んでもいました。そして、もし自分がプロのフィギュアデザイナーで玩具会社に所属していたら大量生産されてみんなにフィギュアを売ることができるのに…と妄想じみたことまで考えるようになっていたのです。
そんな折にあのワンフェスでフィギュアを買ってくださった中国のMさんから連絡が入りました。
それはすごいお知らせで、事態はさらに急展開することになるのですが、この続きはまた次回お伝えしようと思います。

それではまた来月。