フィギュアのあさみさん

第一回 『フィギュア制作のきっかけ』

こんにちは、あらごんです。

普段は絵関係のお仕事をしていて、memorandomさんでもゆるい漫画を掲載させていただいています。

しかし今回はそんな絵や漫画とはあまり関係のない連載です。

私事で恐縮ですが、2018年の秋から趣味でフィギュア制作をはじめました。

そんな趣味ではじめたはずの活動ですが、なぜか約半後には海外の企業とオリジナルフィギュア制作のお仕事をすることになり現在に至っております。

正直自分でも「どうして今こうなっているのだろう…」と戸惑っています。

という訳で今回の連載では、中国の玩具メーカー『WOWORKS』さんから僕の漫画のオリジナルキャラクターである『あさみさん』のフィギュアが販売されるまでの足跡を、全12回に亘って振り返っていこうと思います。

そもそものはじまりは2013年頃まで遡ります。

この頃の僕は4コマ雑誌で『フリーランスなあさみさん』という漫画を描いていました。

本格的に漫画を描き始めてまだ1年ほどだったので、当時は描くという作業だけでいっぱいいっぱいな状況でした。
そんな時期に嫁が趣味でフィギュアを造ると突然言い出して、僕の描いていた漫画の主人公である『あさみさん』を粘土で造形し始めました。

しかし嫁は気が短いので、時間をおいて乾燥させないと次の工程に進めない粘土造形に早々に飽きてしまい、この計画はここで一旦終了となりました。

それから数年後の2017年、3Dプリンターが一般にも普及しはじめてきた頃、再び嫁の造形ブームが再燃。

なぜブームが再燃したかというと、3Dソフトで造形したキャラクターをプリンターで出力すれば、粘土造形のように乾燥を待たずともフィギュア制作が可能だと考えたからです。

そして一度やると決めたら行動が早いのが嫁です。

早速、実際に3Dプリンターが稼働している様を見ることができるイベントに夫婦で何度か足を運ぶことになりました。

『ワンダーフェスティバル』や『トレジャーフェスタ』といったフィギュアやガレージキットの展示・販売が行われているイベントです。

これらのイベントでは各メーカーの3Dプリンターが展示されており、実際に稼働している所を見ることができます。出力されたサンプルをお土産にもらえたり、担当者の方に色々質問することもできます。

この頃の僕はまだ3Dプリンターにそこまで興味がありませんでしたが、フィギュアやガレージキットには興味があったので、主にそっちを見に行くのがメインという感じでした。

もともと僕自身も普通にプラモデル製作は趣味のひとつで、ガレージキット制作にも興味があり、イベントでの展示物を見るうちに「自分でもこんな風にフィギュアを仕上げてみたいな」とうっすらですが思うようになりました。

しかし嫁の目指すところはそんな僕のゆるい目標の斜め上を行っていて、「僕のキャラクターでオリジナルフィギュアをつくってイベント販売する」というとんでもない目標をこの時すでに打ち立てていたのです。

ただ僕はとても乗せられやすいというか、流されやすい性格なので、「僕のキャラクターでオリジナルフィギュアをつくれば絶対に面白いものができる」と嫁に力説され続けるうちに、だんだんその気になってオリジナルフィギュア制作に前向きになっていきました。

そんなことを繰り返しているうちに欲しい機種も決まり、購入資金もばっちり貯金…と順調に来ましたが、ここで問題点が浮上。

自宅に3Dプリンターの設置スペースとフィギュア製作の作業スペースがないことです。

3Dプリンター自体は一昔前の21インチのブラウン管テレビよりちょっと大きいくらいなのですが、ただでさえ在宅で夫婦2人絵の仕事をしているのだから、パソコン2台と作業用の長机、資料用の本棚に大きなレーザープリンター等で我が家のスペースは、一般家庭に比べてかなり物にあふれている状況でした。

そんな訳でどう頑張っても3Dプリンターとフィギュア作業用のスペースは確保できず、またまた計画は頓挫しかかってしまいました。

しかし翌2018年にひとつの転機が訪れます。
ひょんなことから家から歩いて5分ほどの物件を見学に行ったときのことです。

3Dプリンターを置いても十分自宅で仕事ができる大部屋と、フィギュアの作業に使ってくださいと言わんばかりの小部屋を兼ねそろえた、まるで自分たちのためにあるかのような一軒家を偶然見つけたのです。

なにか運命めいたものを感じた僕たち夫婦は即決でこの家に引っ越しました。

こうして3Dプリンターとフィギュアの制作ができるスペースの問題は無事解決、あとは引っ越し後に注文した3Dプリンターが届くのを待つばかりです。

次回は、3Dプリンターが届いてから実際に使用してみるまでの素人コンビ奮闘記をお伝えしたいと思います。

1年間お付き合いどうぞよろしくお願いします。