本を読む場所

第四回 斉藤典貴

本を読む場所

第四回 斉藤典貴

 昨年から月に一度のペースで京都通いを続けている。急いでいないので「のぞみ」には乗らず、「こだま」のグリーン車で3時間半かけてゆっくりと。好きな食べ物や飲み物を用意して乗り込む。乗客はたいてい少ない。カバンから本を取り出す。ちょっと広めのシートを倒して横になってページをめくると気持ちよく本の世界に没入できる。途中で眠くなれば、そのまま居眠りするのもいい。
 中学から電車通学してきた。ガタンゴトンとレールの音を聞き、電車に揺られていると、かえって読書に集中できる。気に入っていたのは品川から京浜急行で自宅があった京急蒲田までの道のり。特急に乗れば3駅8分のところ、始発の各駅停車に乗り、10駅20分ほどを読書の時間にあてた。早く家に帰って、家で本を読めばいい、とは思わなかった。春や秋には、すいている各停で午後の陽ざしを浴びて本を読むのが心地よかった。
 「こだま」のグリーン車での“各停読書”。若いころに経験した“各停読書”とは違い、時間も気持ちもゆったり過ごせる。なんとも格別な味わいだ。

 

① 東京ボンベイ ( キーマカレー ) / 恵比寿

 昨年までサラリーマンを36年間やっていました。週に5日は満員電車に乗って会社に行く。苦痛な時間ですが、食いしん坊なので“今日のランチのこと”を考えて、耐え忍んでおりました。今回からはじまる新連載は、その“ぼくが9,000回以上車中で楽しみながら悩んでいた気持ち”をコンセプトにしました。題して「食いしん坊の会社員が、 20日に一度は食べに行きたくなるランチ店」。毎回一軒、推しメニューとともに紹介していきます。記念すべき第1回は恵比寿のカレー店。店の名前は【東京ボンベイ 恵比寿ガーデンプレイス店】です。猛暑はスパイスの効いたカレーを欲しますからね。ぼくが足繁く通っているカレー屋さんに【デリー(上野店/銀座店)】がありますが、こちらはその流れをくむ店。千葉県柏にある1963年創業の名店【カレーの店 ボンベイ】の東京支店のひとつです。日本人の味覚に調整したインドカレー店だと思います。ですから、あの激辛旨味のカシミールカレーもあるし、インドも、コルマもある。ですが、ぼくはこちらでは「キーマカレー」を注文します。鶏挽肉を使っていてヘルシーだし、香り高いスパイス使いが最高です。ドライ系のキーマを出す店も多いですが、こちらはルー系。辛いのがお好きな方は、店員さんに食券を渡すときに「赤キーマで」とお願いしてください。時間があるなら、近くに東京都写真美術館もありますよ!恵比寿近くで打ち合わせの際はぜひこちらに行ってみてください。

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