本を読む場所

第三回 辻ゆかり

本を読む場所

第三回 辻ゆかり

 1時間近い電車の移動時間が、私が本を読む時間、そして本を読む場所。最寄駅から3駅もすれば、ほとんどの人が降りるので、そこですかさず席を確保するのは長年この電車に乗ってきたからこそ。
 さて、バッグから取り出すのは読みかけの本はもちろん、もう何度も読んでいるお気に入りの本という場合も多い。
 あぁ、この箇所好きだった。そうそうこのフレーズと、思い出しながら窓からの景色を見るのも好きだ。見慣れた景色だけど、青空、雨の日、桜、新緑…と、お天気や移り変わる季節を一層感じられる気がするし、これが電車のいいところ。
 というわけで1時間はあっという間。本をバッグにしまう。だって乗り換えは短いし、おまけに地下鉄だ。やっぱり景色が見えなくっちゃ。