ある日、カレン・ダルトンが『Something on Your Mind』を歌う小さく掠れた声が耳元で流れてきた途端、胸をつかれた。そのまま二曲目の『When A Man Loves A Woman』を聴き、さらに参ってしまった。アルバムに所載されていた彼女のポートレイトにも魅せられた。神秘的でやさぐれていた。私が暮らしていた小さな部屋には、笑っている写真の少ないカレン・ダルトンが川の前でポーズをとって微笑んでいるポスターを飾った。大学のブックデザインの課題では、私の好きな女性作家の詩や言葉を集めて本を作った。タイトルはカレン・ダルトンを讃え『When A Woman Loves A Man』と名付けた。カレンは様々なカバーソングを彼女だけの歌声と演奏で表現したが、自分自身が書いた歌詞を歌うことには消極的だったようだ。彼女の詩を読むことができたらいいのにと思う。