本を読む場所

第七回 井野敬裕

本を読む場所

第七回 井野敬裕

 私は幼い頃から本が読めない。読めたのは、母が揃えてくれた世界の童話全集と飛び出す絵本だけだ。
 中学生のころ、『氷の微笑』が話題になり、思春期の私は衝撃を受けた。映画雑誌を読み漁り、大人の世界を覗くようにページをめくった。
 芸大に進むと、芸大生ならこういう本を読むのだろうと勝手に決め、周囲をうかがいながら本を読んだ。義務のように、少し格好をつけて。けれど、どこかしっくりこなかった。
 今は仕事に関わる本ばかりだ。目次を開き、必要な箇所を探す。本を読むというより、解体している。使える部分を抜き出し、組み替える。
 老舗喫茶店で文庫本を開く自分を想像することはある。だが実際に落ち着くのは近所のチェーン店だ。フェイクのレンガの壁紙にコーヒー豆の写真。額縁の紐が見えていて、つい直したくなる。
 電源のあるカウンターに四、五冊の本を積む。系統分けする。この店は満席にならない。広げたページの中から断片を拾う。タイプは弾む。

 

① 東京ボンベイ ( キーマカレー ) / 恵比寿

 昨年までサラリーマンを36年間やっていました。週に5日は満員電車に乗って会社に行く。苦痛な時間ですが、食いしん坊なので“今日のランチのこと”を考えて、耐え忍んでおりました。今回からはじまる新連載は、その“ぼくが9,000回以上車中で楽しみながら悩んでいた気持ち”をコンセプトにしました。題して「食いしん坊の会社員が、 20日に一度は食べに行きたくなるランチ店」。毎回一軒、推しメニューとともに紹介していきます。記念すべき第1回は恵比寿のカレー店。店の名前は【東京ボンベイ 恵比寿ガーデンプレイス店】です。猛暑はスパイスの効いたカレーを欲しますからね。ぼくが足繁く通っているカレー屋さんに【デリー(上野店/銀座店)】がありますが、こちらはその流れをくむ店。千葉県柏にある1963年創業の名店【カレーの店 ボンベイ】の東京支店のひとつです。日本人の味覚に調整したインドカレー店だと思います。ですから、あの激辛旨味のカシミールカレーもあるし、インドも、コルマもある。ですが、ぼくはこちらでは「キーマカレー」を注文します。鶏挽肉を使っていてヘルシーだし、香り高いスパイス使いが最高です。ドライ系のキーマを出す店も多いですが、こちらはルー系。辛いのがお好きな方は、店員さんに食券を渡すときに「赤キーマで」とお願いしてください。時間があるなら、近くに東京都写真美術館もありますよ!恵比寿近くで打ち合わせの際はぜひこちらに行ってみてください。

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