第6回 When I Call Your Name
うまくいく恋と、そうでない恋の見極め方、それは相手のことを下の名前やあだ名で呼べるかどうか、そして相手が自分のことを下の名前で呼んでくれるかどうかだと思っている。
出会ったばかりの頃は苗字を「さん付け」で呼ぶ関係であっても、親密になるにつれお互いのことを下の名前や名前にちなんだあだ名で呼ぶ、というのは恋愛に限らず自然な流れだが、実際はそれができないことがとても多かった。
知り合い、親しくなり、二人で食事に行くような仲になっても、名前を呼び合えないままだと、いつまでも壁があるように感じてしまう。
そのためなるべく早い段階で下の名前で呼べるように、知り合って間もなく「何て呼べばいいですか?」と呼び方を確認するという技術も身につけたのだが、「呼び捨てでいいですよ」などと言われてしまうと、まだ全然親しくないのにいきなり呼び捨てで呼ぶわけにもいかず、結局一度も名前で呼ぶことはなく、そのままお互い名前で呼ばない関係になってしまうのだ。
私自身も子供の頃から、友人に下の名前で呼ばれることは少なかった。その要因は、名前が四文字(テツロウ)だからなのかもしれない。名前が二文字(ケンなど)の男の子は大体みんなから名前で呼ばれていた。三文字(タクヤなど)の子も名前で呼ばれることが多かった。だが名前が四文字になると、下の名前ではなく苗字で呼ばれる確率がぐっと上がる気がする。
もう一つの要因は、私が名前で呼びたくなるようなタイプの人間ではない、ということか。特に子どもの頃は人見知りが激しく、誰とでも遊んだりできるような子どもではなかった。大人になって少しは社交的になったと思うのだが、それでもやはり、気軽に名前を呼び捨てできるようなタイプの人間ではないみたいだ。
それでもごく稀に、出会って間もないのに私のことを「てっちゃん」などと呼んでくる人が存在する。家族や親戚はみな私のことを「てっちゃん」と呼ぶが、外で呼ばれたことはほとんどない。なのでそんな人に出会うと、それだけで何か特別なものを感じてしまう。「この人とは波長が合うに違いない」と勝手に運命を感じてしまう、私はとても単純な人間なのです。
イラスト:伊藤敦志