第十一回 答えのないこと

答えのないこと
第十一回 不思議の国の料理不適合者

品揃えが豊富なスーパーを練り歩くと、
次第に料理をする気が失せてくる。
選び取ることもできず、ただ圧倒され、
その場を後にすることも少なくない。

子育てとは食事を与えること。
日々そう実感すると同時に、
SNSに蔓延する“理想的な家庭料理”から
たまに目を逸らしたくなる。

“丁寧な暮らし”とは誰のためなのか。

鮮度の高いものが容易に手に入るなら、
手を加える、つまり料理する必要もない。
栄養バランスのいい献立に悩む必要もない。

願わくば、そんな簡素で贅沢な生活を送りたい。