『BIG BIG WEDNESDAY』

『BIG BIG WEDNESDAY, Issue 3』
(Brown Printing 2015年)

はじめまして、SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSの鈴木と申します。
先日初めてオレゴン州のポートランドに行ってきました。
そこで見つけたスモールプレス(少部数出版物)について書きたいと思います。

すでに雑誌などで多く取り上げられているポートランドは、「小商い」の街として知られています。

地元の素材を使ったり、地域の方々が集う場所を作ったり、人びとはとても優しく、隣人を大事にする。もちろんすべての方がそうだとは思いませんが、東京と比べても平均年齢が若いこの街は、そういう空気が自然と生まれやすいのかもしれません。

そんなポートランドで見つけたのがこちら。
『BIG BIG WEDNESDAY』

私は日本でも「本屋ではないところにある本」が好きです。雑貨や服を扱っているお店で、その世界観が好きな場合、その店主がこのむ本もきっと面白いだろう、という考えを持っています。というわけで、「うわ、このお店好きだなー」と直感で思ったときに小さく本のコーナーなんかがあったら、そのタイトルを凝視して覚えます。

この『BIG BIG WEDNESDAY』はそんな風にして見つけました。
ポートランドで足を運んだお気に入りの「雑貨店」に、この本がありました。

あまりに足を運んだ店(書店以外にも数店舗)にこの本があるものですから、「ああ、この本はきっとポートランドでぜったいに押さえておかなければならないスモールプレスなのだろう」と書店員の血が騒ぎ、最後に立ち寄ったインディペンデントな本屋で購入しました。

ページをめくるとイラストや長めの詩、短めの詩、エッセイ、写真等バラエティに富んだ27の作品が詰まっています。

最後に作者紹介がありますが学生のミニコミという感じではなくきちんと仕事をしている人たちが多いようです。もしかすると、仕事ではなかなかできないことをこの本なかで表現しているのかもしれません。日本にもそういうスモールプレスがたくさんあります。

それにしても『BIG BIG WEDNESDAY』というタイトルは、やはり映画の「ビッグ・ウェンズデー」からきているのでしょうか。カリフォルニアにいる3人の青年が、伝説の波といわれるビッグ・ウェンズデーに挑む青春物語です。オトナになるにつれてどうしてもしなければならないこと、やらなければならないことが増えていく一方で、自分が確かに良いと思うもの、憧れているものを忘れないパーソナルな気持ちが、映画と重なりました。

最後には、この雑誌に興味がある方は作品をこちらまで送ってください、と記してあります。こちらで3号目。こういうスモールプレスは「3号以降続けるのが難しい」と、むかし知人が話していましたが、私も同感です。

この活動はゆっくり続き、作り手の輪を広げ、よき発信の場になるのでしょうか。
見逃せません。

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