04. 猿の待つ鐘

tothemars04

去年は未発売となったシャンハイタンのモレスキン干支ノート。今年は復活されると聞いて、申年ヴァージョン三種類をすぐに注文した。2016年は火と金を表す丙申(ひのえさる)。激しい一年になりそうだけど、同時に枝葉に迷う乙未(きのとひつじ)の2015年よりも明るい年になりそうな気もする。

届いたノートは紺と赤の二色とふた柄。なんだか仕事が捗りそう。
だけど、ひとり夜更けに白いページをめくっていると、小さな不安も湧いてくる。
わたし、一年、うまくやれたのかしら。
このまま進んでいっても大丈夫?
頭に浮かぶ友人たちの顔、顔、顔。
みんな笑っているけれど、ねえ、私と一緒の時間は愉快だった?
新しい年もつきあってみようと思ってる?
さらに厚かましく訊くならば、ねえ、今年の私は好きだった?
ねえ、この瞬間も私を好き?

白いページは答えてくれない。
ただ書きこまれる未来を待つだけ。

いつも思う。新しいものを手に入れるのはどんな時も嬉しいけれど、ノートだけは少し特別。
迷いや恐れも孕んでいる。
時は留まることを知らず、吹かれる砂のように流れてゆく。
遠くで除夜の鐘が鳴り始めた。
さあ、そろそろ万年筆を手にしなければ。
一月一日金曜日。
今年も一年が始まる。
慌ただしい毎日が始まるのだ。

(2016.1.3)